イカ墨スパゲッティと認められることがゴールではない!?
そして実食。想像以上にあっさりした食べ心地でしたが、イカ墨の風味を感じることができ、おいしくいただきました。
どちらかと言えばアンチョビやニンニクが効いた、日本人好みの味わいにまとまっている魚介風味のパスタ料理と説明した方がわかりやすいかもしれません。

ヴェネツィア他店でのイカ墨パスタ。魚介の旨味というよりは、イカスミの甘味とほろ苦さがパスタにからまり、独特の深みのある味わいに。ため息が出るほどおいしかったです
気になるのは、食べた人がこれをイカ墨スパゲッティだと認めるか? という点。
本場の味を知る立場としては、あまりに違い過ぎて比較をしようとは考えませんでしたが、認めない人が大勢現れたとしてもまったく違和感はありません。
だって、そうですよね….。正直申し上げて別物! ネーミングや説明書きから想像するに、おそらくサイゼリヤもわかってやっているのです。

完食後に口を拭いてみましたが、このレベルは許容できますか?
本場感への追求ではなく、食事中のエチケットを考えた、口周りが汚れにくくするという配慮重視のパスタであることはわかりました。それでは本当に、口周りが汚れにくいのでしょうか?
スパゲッティを完食してすぐに紙ナプキンで口をふいてみたところ、気になるような黒や茶色が付かないことに驚きました。
そしてドキドキしながら鏡で唇や歯もチェック。感じ方には個人差があるでしょうが、旧メニューと比較すれば、他人に見られても恥ずかしくないレベルだと安心する人は増えるに違いありません。
ちなみに、スーパーなどで売られている市販のイカスミソースを食べてみたところ、しっかり黒くなりました!

飲み物で口内を潤さずに撮影した口周りの写真。無修正で失礼します
今回のサイゼのイカスミ問題。このメニューに大きな注目が集まったという点で話題作りとしては大成功でしょう。
さあ、皆さんは食べに行きますか?
<文/食文化研究家 スギアカツキ>