
©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
もうひとつ忘れられないのが、ベラが船旅で出会う老婦人・マーサとのやり取りだ。
まだ幼いベラの不躾(ぶしつけ)な質問に対しユーモアを交えて答え、読書という新しい道を彼女に示すマーサ。ベラの成長が許せず、彼女の本を奪い海に捨てるダンカンを尻目に、そんな彼をあしらうかのようにすかさず次々と自分の持っていた本をベラに差し出す。
学ばんとする意思は決して奪えないことを、諦めなければどこまでだって世界を広げていけることを知っている人の佇(たたず)まいで、まさにこの作品を象徴するようなシーンに胸がいっぱいになった。
私も“女性らしさ”の名の元に阻まれてきた道があった

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ベラはその眼で世界を知り、やがて世界の不完全さに絶望を覚えながらも、決して本を手放さず、学び続けることを止めない。必要とあらばその身で日銭を稼ぎ、女性と連帯しながら自分らしさを掴(つか)んでいく。
私の身体はどの部位だって余すことなく私のものでしかないのだ、と力強く宣言するその振舞いがあまりに清々しく、思わずうっとりとしてしまったのは、私もまた幾度となく“女性らしさ”の名の元に阻(はば)まれてきた道があったから。