――小学校高学年のときに、ショルダーバッグを斜めがけしていたら男子高校生から「胸を強調してる」とからかわれたエピソードが印象的でした。
魚田コットン(以下、魚田):ショルダーバッグについての漫画は、昨年はちみつコミックエッセイ主催の「コミックエッセイ描き方講座」に参加したときに卒業制作として描いたんです。
そのときすぐX(エックス)に載せたときは「200いいね」くらいだったのですが、今年再掲載したらすごく沢山の反響がありました。
「私もこう言われるのが嫌で斜めがけしなくなった」という女性達からの声が多かったです。
女友達から言われたというケースもあったり、テレビで俳優さんが「ショルダーバッグの斜めがけで胸が強調される『パイスラ』が好きだ」と発言しているのを見てできなくなったというコメントもありました。
――男子高校生にからかわれたあと、一緒にいた女の子から「モテてたね」と発言がありましたね。
魚田:友達は「男の子にからかわれるイコール、モテている」という認識だったのかもしれません。
小学生男子が好きな女の子をいじめて、女の子が嫌がっていても「あなたのこと好きなんだよ」と軽くあしらわれてしまうのと同じような扱いだったんだと思います。
――このエピソードがXで大きな反響を得たことは、女性を不必要に性的な目で見たり、セクハラ的な発言をすることに対して世の中の意識が大きく変わっている表れのように感じます。
魚田:変わってきていると思います。もし5年くらい前に発信していたら「そんなことくらいで気にし過ぎ」と受け取られていたかもしれません。
今回、そういう意見は1つくらいで、ほとんどの方が「こういうことはよくないよね」と真摯に考えてくださっていました。
――小学校5年生のとき、お母さんの彼氏(後の再婚相手)から性加害があったそうですが当時はどう捉えていたのでしょうか。
魚田:その頃は多少の性の知識があったので、小学校1年生のときとは違って「性的なことをされた」ということは分かりました。
でも完全には分からないし、理解したくないという気持ちもありました。
――そのとき、お母さんに言えなかったのはなぜだったのでしょうか。
魚田:小1でスーパー銭湯で痴漢に遭ったとき母に話したのに寄り添ってもらえなかったというのがあります。
もう1つ、小5のときに私が寝ていたら深夜に不審者が部屋に入ってきて「お話をしてくれ」と言ってしばらくしゃべって帰って行ったこともあったんです。
次の日、母にそのことを話して「警察に言わなくていいの?」と聞いたら「夢だったんじゃないの?」と受け流されてしまったことがありました。
もしまた同じように流されてしまったら、今回は自分がすごく傷つくような気がして言えませんでした。「母は義父のことが好きだから取り合ってくれないかもしれない」という気持ちもありました。
――もし、自分の子どもが性被害に遭ったらどうしようか考えたことはありますか?
魚田:まず本人の言うことを否定はしないようにして話を聞こうと思います。