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収録現場で見た岩田剛典の“ありのままの姿”。2ndアルバム映像で聞き手を務めた筆者の独占レポ

気取らない配慮と飾らない感謝

 そう、すべてはMATEがライブを楽しめることにある。収録中、岩田さんがもっとも言及していたのが、他ならぬMATEへの感謝だ。気取らない配慮と飾らない感謝が、大前提。  2ndトラック「Time after Time」のタイトル通り、「何度も何度も」感謝を口にしようとも、決して装飾的にはならない。むしろ、ありのままの自然体の状態から、血の通った言葉がシームレスに出てきているような印象を受けた。  前作『The Chocolate Box』も含め、基本的に全曲がラブソングだが、岩田さんにとっての愛は“当たり前”を意味する。人生はすべて愛であり、愛は人生そのもの。時折、人生観的な哲学をさりげなく披瀝するのも、いやはや気取りがなく、まさにARTLESSな人柄。そりゃ、MATEもついてくるわけだ。

「岩田剛典マニアじゃないですか!」

岩田剛典 後半戦でもまだうわずったままでいるぼくは、岩田さんが饒舌になるのをいいことに、妄想ぎみの問いかけを恥ずかしげもなくどんどん放った。「よく気づきました!」という具合に数々の神対応で応じてくれたのは奇跡に近い。  ここからは、MATE必読のBlu-ray映像未収録内容(!)。「Just You and Me」の「You」と「Me」がもしかして『シャーロック』(フジテレビ、2019年)の誉獅子雄(ディーン・フジオカ)と若宮潤一(岩田剛典)なんじゃないかと指摘したときには、さすがに失笑を買うかと思えば、今度は「何でわかったんですか!」とユーモラスな調子でおどけてくれた。  図に乗ったぼくは懲りずに応酬を重ねる。アーティストとしてだけでなく、俳優・岩田剛典が、『ウェディング・ハイ』(2022年)や『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(2022年)から『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(2023年)や『誰も知らない明石家さんま』(2023年11月26日放送回)内の再現ドラマ「笑いに魂を売った男たち」へ出演歴を重ねる過程で、演じる役柄からイメージされるものが、“振り返る人”から“鏡の中の人”へとより繊細で鮮やかな宇宙的次元に到達しているのか、興奮を隠さずに伝えもした。  収録後、このコラム用の特別撮り下ろしに付き合ってもらい、岩田さんは三代目JSBドームツアー会場へ移動する。サングラスをかけてシンプルに仕上げるARTLESSな実践的スタイルのカッコよさを見送るとき、やれやれ、若干曇っていたぼくの妄想像レンズもやっと目の前の光景に対して遠近がアジャストされたように思う。  そして帰り際、ぼくの元にスタッフのひとりが小走りでやってきた。あぁ、これはちょっと聞き手にしては喋り過ぎちゃったかと即座に猛省するのも杞憂。「岩田剛典マニアじゃないですか!」という褒め言葉を聞いた途端、全身が脱力して、この名誉な体験を早くも追想した。 <取材・文/加賀谷健 撮影/鈴木大喜>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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