「台所は腐海と化し冷蔵庫の食材は液状化」鬱が悪化し、ゴミ屋敷で最期を迎えた女性。相続した数千万の行方は?
仮に純粋な気持ちからだとしても、夫の入院で弱っているところへ脅しに近い言葉で誘うのは悪質だ。そう考えた麗華さんは、ほかにトラブルに巻き込まれている人はいないかと、周囲の親戚に連絡を取ってみた。すると、出てくるわ出てくるわ。
麗華さんの従妹は妊娠中に、叔母がやはりふたり連れで来たという。
「あなたの家系には、成仏できない霊がとりついている。生まれてくる子に障りがあるといけないから、お祓いが必要だ」
妊婦に向かって、なんてことを言うのか。
「しかし信仰を持つこと自体は自由ですし、叔母の人生を思うと、仕方がない部分もあると思っているんです。姪の立場である私から見ても、つらそうな人生でしたから」
麗華さんの母と叔母の姉妹は学生時代、父と弟をつづけて亡くしている。父は水の事故で、弟は災害が原因だった。
不幸中の幸いか、母の実家が資産家だったため経済的に困窮することはなかったが、多感な時期につづけて家族を亡くすのは、想像を絶するつらさだろう。
成人後、麗華さんの母は結婚で隣県へ行ったが、叔母は実家に残り、母親(麗華さんにとっての祖母)との同居という条件をのんでくれる相手と結婚。叔母、叔母夫、祖母の3人で暮らすなか、叔母は20年近く不妊治療を行い、そのあいだに祖母の介護もはじまっている。
のちに調べた結果、叔母はおそらく不妊治療中に入信していたようだ。
「治療の甲斐あって娘がひとり生まれましたが、叔母にとっては、子どもを授かったのは“信仰のおかげ”なのかもしれませんね」
勧誘のほか、叔母が“教え”として実践していたのはこのようなことだ。
・仏壇に水を張った器を置き、水面が揺れると「お告げがあった」というサイン
・就寝は夫婦別室でなければならない
・服薬やワクチンは“毒”と考え、断固拒否

つらいことが次々訪れる人生

真面目に教えを実践する日々

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