
そんなことがあった翌月、また恭子さんが遊びにきたそう。
「今度は部屋に入るなり真っ直ぐにブルーナボンボン(バランスボールのような素材でできた、ミッフィーの形をしたバルーン遊具。子供が乗って遊べる)の元に行き『ごめん、これはかなり嫌な感じがする…』と恭子が涙目になってしまい、あ、これはただ事じゃないなと思いましたね」
その遊具は未華さんの夫の純一さん(仮名・35歳/メーカー勤務)が知人からもらってきたものでした。
「恭子がその不思議な力のせいで、相手が不安になるようなことを言ってしまうのが嫌だと悩んでいた話を先日聞いたばかりだったのですが『正直に感じたことを全部教えて』とお願いしたんですよ」
すると「前回のブレスレットと違って、この遊具にはピンポイント(=夫・純一さん)に向けた強い複雑な感情のようなものが詰まっているように感じる」と恭子さんは教えてくれたそう。
「それを聞いた時に、そういえば先日ふと夜中に目を覚ましたら隣に寝ているはずの純一が居なくて、スマホもなくなっていたので、あわてて探したらトイレにこもっていたことがあり、ちょっと怪しいなと感じたことを思い出したんです」
そして未華さんは、この遊具をくれた人物を特定しなくてはと決意しました。
「私は『会社の同僚がくれた』としか聞いていなかったのですが、純一にそんなピンポイントな複雑な感情を向ける相手なんて、女性なんじゃないの?と思えてしかたがなかったんですよ」
そして帰宅した純一さんに「この遊具をくれたのって女性だよね?どうもあなたはその女性からかなり恨まれていて、これに生霊(いきりょう)がついているみたいなんだけど心当たりある?」とちょっと誇張して伝えてみると…。
「明らかに純一の顔から血の気が引いて、今まで見たことのない不安そうな表情に一瞬なった後すぐに『いや分からないし、生霊なんてあるはずないだろう』と言い訳しだしたので、もう我慢できずに『正直に全部話すかスマホを見せて。じゃないと離婚する』と怒鳴ったら、純一は頭を抱えて黙ってしまいました」
実は純一さん、取引先の女性と不倫関係になった末に別れ話を切り出したらこじれてしまい、その女性から『もう消えてなくなりたい』など自殺を匂わせるようなメッセージがくるようになってしまったそう。
「そしてやっと別れられることになり最後に『これお子さんにどうぞ』とわたされたのがこの遊具だったそうなんです。きっと嫌味のつもりだったんでしょうね」