
「ヘルタースケルター スペシャル・エディション」アスミック・エース
ここから沢尻さんへの逆風が吹き荒れ続ける時期が始まるのです。
2009年にはハイパーメディアクリエイター・高城剛さんと結婚(2013年に離婚)し、当時の所属事務所から契約解除されたことなどもあり、芸能活動を休止することに。
しかし、確かな演技力とスター性を兼ね備えた彼女を芸能界が放っておくはずもなく、2012年、“一度目”の女優復帰を果たすのです。
その復帰作『ヘルタースケルター』は実に衝撃的でした。バストトップを隠さない大胆な濡れ場を披露し、ブレイク当時の“優等生の清純派”というイメージとは完全決別。
腹をくくって臨んだこの復帰作は大きな話題になり、結果的にこの役選びが功を奏して大復活。2014年には主演ドラマ『ファースト・クラス』(フジテレビ系)もスマッシュヒットさせるのです。
こうして「別に…」騒動を乗り越えてトップ女優に返り咲いていたのですが、前述したとおり、2019年に麻薬取締法違反で逮捕。
このとき2020年放送の大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)で、重要な役どころである帰蝶(濃姫)役にキャスティングされていたのですが、降板することに。
そんな沢尻さんの代役を務めたのが、後に大ヒット恋愛ドラマ『silent』(2022年/フジテレビ系)で主演し、今やCM女王となっている川口春奈さん。とてつもないプレッシャーのなか代役として帰蝶を見事に演じ上げたことで、『麒麟がくる』が川口さんのターニングポイントになったというのは、なかなか考えさせられる逸話です。
話を沢尻さんに戻しましょう。
今年2月、舞台『欲望という名の電車』の千秋楽のカーテンコールでは、涙を流しながら「ファンのみなさま、今まで待っていてくれてありがとうございました。これからも人として役者として成長していけるように一歩一歩がんばります」と語っていました。
――沢尻さんは三度目の役者人生をスタートさせたばかり。
自業自得とは言え二度の“転落”を経験し、酸いも甘いも噛み分けた彼女の演技は、これからますます円熟味が増していくのではないでしょうか。
<文/堺屋大地>
堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』(扶桑社)で恋愛コラム連載、『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は
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