
ここからは、やぎゅうさんと、本書の監修を務めた医学博士の日比野佐和子先生のトークタイム! やぎゅうさんがやせなかったのは、一体なぜ? ダイエットの疑問を深堀り!
【日比野佐和子先生】
医療法人社団康梓会Y’s サイエンスクリニック広尾統括院長。医学博士。アンチエイジング専門家として活躍。自身も-15kgの減量に成功し、ダイエットにも造詣が深い
日比野先生:やぎゅうさんは、テレビ番組の出演をきっかけにダイエットを決意されたそうですね。ダイエットを始めたばかりのころは、思うように成果が出ない時期があったとか。
やぎゅう:そうなんです。最初は「とりあえずお米を抜けばいいんでしょ!」とお米断ちをしました。自己流の糖質制限です。その代わり、豆腐やこんにゃくをたくさん食べて「カサ増し」を狙っていましたね。けどすぐにお腹が空いちゃうし、体重もさほど落ちない。ストレスも溜まってイライラしっぱなしで、おまけに体調も良くなかったですね。
日比野先生:結論から言えば、過度な糖質制限は危険です。かく言う私も過去に過度な糖質制限にチャレンジして半年で15キロ減量したことがあるんです。けれどある朝、目覚めたら体の右半身がまったく動かなくなってしまって。ちょうど今のやぎゅうさんと同年代、36歳のときの出来事です。
やぎゅう:ええっ! 一体何があったんですか!?
日比野先生:幸いにもしばらく休んでいたら動けるようになったのですが、病院で調べたら脳梗塞の一歩手前の状態「一過性脳虚血発作」と診断されました。脳細胞のエネルギー源は糖質です。
しかし糖質制限ダイエットでたんぱく質や油分を摂りすぎることで脂肪飽和になり、一時的に脳の微小血管が詰まったことが原因だったようです。これを繰り返すと、脳梗塞の起因になると言われています。
やぎゅう:の、脳梗塞、命に関わるじゃないですか!
日比野先生:さらに過度な糖質制限ダイエットでは、糖質を減らす代わりにお肉やバター、卵、豆腐などといった脂肪やたんぱく質を過剰摂取しやすくなります。結果的に血液中の脂質が増えすぎたり、腎臓への負担が高まることもあるんです。
やぎゅう:体の中にまで影響が及ぶんですね! 確かに、私も糖質を断っていたときは、肌荒れがひどかったり、疲れやすかったりと体調に結構波がありました。
日比野先生:それは大変でしたね……。特に女性に関していえば、セロトニンという幸せホルモンが分泌されるのでダイエットにも適度な糖質は必要です。またアンチエイジングの観点からも、過度な糖質制限はおすすめしません。
体内が低血糖状態になってホルモンバランスや自律神経系も乱れ、イライラしたり、ふさぎ込んでウツのような症状になるなど、弊害が出てくる危険性もあるんです。
やぎゅう:私がイライラしていたのも、ひょっとしたら関係があるのかも。
日比野先生:はい、そこでイライラして、ネガティブ思考でダイエットをするとストレスホルモン「コルチゾール」が増え、逆に代謝が悪くなってやせづらくなる悪循環に陥ってしまうんです。
やぎゅう:コンニャクなんかを食べまくってカロリーダウンを図っていたんですけど、そうやって負のスパイラルに陥ってたってわけですか。辛い……。
日比野先生:そうですね。さらに、カロリーを過度に制限すると体が「飢餓状態にある」と判断して、少しでも多くのエネルギーを蓄えようとする。そうすると脂肪を燃焼するホルモン「レプチン」の分泌が抑制されて、省エネルギー状態に陥ってしまうんです。カロリーを制限すればするほど代謝が落ちて、かえって脂肪を溜め込みやせにくい体になってしまうんです。
やぎゅう:ツラいのにやせないって、いいことないですね(涙)。
日比野先生:摂取カロリーが消費カロリーを上回らないようコントロールするのは、ダイエットの原則です。しかし、より気を配るべきなのは代謝をうまく回すためのビタミンやミネラルなど必要な栄養素を摂ることですね。無理な食事制限で減量すると、やめた途端に急激なリバウンドに見舞われてしまうんです。