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注目すべきは目黒蓮の“聞き取れないほどの声量”?新ドラマの難役が「彼らしい」と言えるワケ

言葉よりも雄弁な想像力

 第2話で、夏の父親・月岡和哉(林泰文)と母親・月岡ゆき子(西田尚美)が、夏についてのこんな会話を交わす。「何も考えてないんじゃないの」、「考えすぎちゃって言葉になるのが人より遅いだけだもんね」。そう、夏は単に声が小さく、ぼんやりしてばかりいるわけではないのだ。  彼なりに考えて言葉を発しているし、ちゃんと想像力を働かせている。朱音から「この7年の水季のこと想像してほしい」と言われたことを弥生に話す夏が、「想像しただけでわかった気になっちゃダメだと思ってる」と認識を示す場面からもわかる。  つまり、言葉が少ない分、夏は海に会いに行ったり、行動に置き換えることを忘れない。その上で目黒がボソボソ言葉の余白をうめるように演じ込む。感情があまり上下しない夏は、かなりの難役でもある。  ここでもうひとつCM作品の話題を出すなら、キリン午後の紅茶「紅茶の聖地」篇新で目黒は、日本から遠くスリランカで茶摘みを体験する。束の間、紅茶栽培の工程を体験したあと、日本の日常風景にひゅっと戻る。俳優としての目黒蓮にとっては、言葉よりも雄弁な想像力がマジカルな瞬間をあらわし出す。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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