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狂気の不倫ドラマに出演する20歳俳優の父親は“まさかの人物”。笑ったときのエクボが似てる

不倫とBLで効果は倍々かと思ったら……

 松本まりか扮する主人公・如月みのりは、冒頭からモノローグで、「幸せ」の一語を繰り返す。夫・如月勇大(竹財輝之助)と息子との幸せな生活は、何としても守らなければならない。みのりにとっての幸せとは、強迫観念でさえある。  ある朝、出勤した勇大が忘れていったスマートフォンの通知を見て、みのりは不倫を疑う。疑念はすぐに確信に変わる。勇大が通知の相手と待ち合わせる場所で張り込む。どんな女性がやって来るのかと思ったら、相手は男性。しかも高校生。  それが野村扮する三宅渉だ。みのりは、目を見開いて「男」と驚きの声をもらす。勇大と渉は、待ち合わせ場所のジュエリー店に入り、ニコニコしながら勇大が渉の首元にネックレスをあてたりする。仮に自分の夫が、同性愛者だとして、でもさすがに高校生はマズいんじゃないか。  夫が同性の恋人を作っていた不倫ドラマだと、堀田茜主演の『私と夫と夫の彼氏』(Paravi、2023年)がある。BLドラマと不倫ドラマが各クールで量産されるテレビドラマ界の現行トレンドからすると、(単純な理論だが)両ジャンルの掛け合わせ効果は倍々。

息子の初陣にテクニカルなアドバイス

 でも違った。みのりが張り込みを続け、勇大と渉が食事を楽しんでいるところへ、別の女性が加わる。さっきのジュエリーは、その女性・三宅理子(野波麻帆)の誕生日を祝うプレゼントだった。みのりとの幸せなはずの3人家族以外に、勇大はもうひとつの家庭との二重生活を送っていた。  夫のもうひとつの家庭を崩壊させることを誓ったみのりは、まず渉に接近する。彼が通う塾の担任になるのだが、広くはない教室内で蛇に睨まれた蛙のように、野村が184センチの長身を縮こまらせるのがいい。  第2話冒頭、みのりが渉のややゆるんだネクタイをキュッと直す。野村が首をくっと引いた瞬間、あれ、お父さんの面影。笑ったときに浮き出るエクボなども、沢村一樹が浮き出てくるくらい似てる。似てるついでに言えば、教室で静かに座る涼し気なサラッと感は、そうだな、『オオカミ少女と黒王子』(2016年)で主演の二階堂ふみが、“和製アラン・ドロン”と形容した吉沢亮がメガネを外したら、きっとすごく似ている。  こりゃいいぞ。完全に野村康太ファンになった。俳優とモデルを両軸にキャリアをスタートした野村は、デビュー作を一緒に見てほしいと沢村一樹と約束していたらしい。『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(読売テレビ、日本テレビ、2022年、以下、『新・信長公記』)の前田利家役が、デビュー作になるだろうか。  息子の初陣に対して、沢村が「目線はもう少しこうした方がいいよ」と、次の現場ですぐ使えるテクニカルなアドバイスをしているのも微笑ましいエピソードである(モデルプレスのインタビューより)。
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