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狂気の不倫ドラマに出演する20歳俳優の父親は“まさかの人物”。笑ったときのエクボが似てる

『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京、毎週月曜日よる11時6分放送)第3話で、主人公・如月みのり(松本まりか)が、沸騰した鍋でグツグツとパスタを茹でる。尋常ではないグツグツ音から、夫の不倫への制裁煮えたぎる本作のテーマが端的に示されている。
『夫の家庭を壊すまで』

MUGENUPプレスリリースより

 近年は毎クール、複数の不倫ドラマを各局がこぞって放送している。物語的には、『夫婦が壊れるとき』(日本テレビ、2023年)や『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』(テレビ東京、2024年)との類似はありながら、『夫の家庭を壊すまで』は激しくドロドロしている。でもそのドロっと感にひときわさわやかな要素を導入するのが、注目の若手・野村康太である。  イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、BLドラマから不倫ドラマを経て確実にステップアップする野村康太を読み解く。

「見逃し配信の再生回数」記録更新が感慨深い

 放送後の見逃し配信再生回数が、テレビドラマの人気度を測る指標になって久しいが、松本まりか主演の不倫ドラマ『夫の家庭を壊すまで』が、テレビ東京歴代最多の再生回数を記録した。「ネットもテレ東」とTVerで第2話が配信されると、1週間で200万回再生を超えたのだ。これは同局の「全コンテンツの中で歴代初」と発表されている。  筆者がこの記録更新についてことさら感慨深く思うのは、本作の原作者である赤石真菜が、母校である日本大学芸術学部映画学科(以下、日芸)の親しい学友だから。  日芸時代の彼女は、新作脚本が書けたら真っ先に読ませてくれた。ある日、校舎があった所沢のファミレスで、懐刀のようにさっと差し出してきたのが、不倫物の脚本だった。彼女にとっては初挑戦のジャンル。セクシャルな描写が詳細に書き込まれたト書きからは、少し照れくささがにじんでいたのをよく覚えている。  そんな彼女が不倫漫画の原作者としてデビューし、今回のドラマ化で大記録を打ち立てた。しかも筆者がイケメン研究を生業にすることを知る彼女は余念がない人だ。本作で注目すべきは野村康太という若手俳優であり、きっと気にいるはずだとわざわざ連絡してくれて、不倫物を極める旧友が自作をレコメンドするのだ。

ジャンルレスに予想を超えてくる才能

 野村康太? 初めて聞く名前だった。どうやら沢村一樹の息子だと言うが、確かにイケメン研究にはもってこい。どこから見ても純度100%ぶっちぎり具合ではないか(!)。  でも待ってくれ。極めて清新な第一印象を受けた若手俳優が出演する最新作だよね。主人公の復讐心と連動するあまり、松本まりかの演技自体が狂乱する寸前で踏みとどまる。刃物のような狂気が恐怖の材料としてひたすら煮込まれる、そんな不倫ドラマの鍋の中に、野村康太が丸腰で投げ込まれて大丈夫か?  では、実際の画面上で野村康太は、どう写っているのか。初登場は、第1話のちょうど中盤。これが驚いた。その瞬間は、不倫ドラマらしくハラハラさせる疑念の場面として活写されている。不倫ドラマだろうが何だろうが、ジャンルレスに予想を超えてくる才能がある。
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不倫とBLで効果は倍々かと思ったら……
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