「真実を隠して嘘をついた」時点で信頼関係は崩れ去る
「騙され不倫」というとイメージが悪いが、実際に相手に独身だと伝えられて関係を続けるケースは少なくない。
携帯電話が普及して、家に電話をかけなくなったこと、たとえ妻と同居していても「独身だけど、親と住んでいるから家には呼べない」と言われれば、それほど不信感を抱くこともない。単身赴任中なら、「独身」を貫くこともできるだろう。バツイチだと言っておけば、子どもの話をしても疑われることはない。
電話だけでなくSNS等、さまざまな方法でつながっているから、相手の正確な住所を知らないままつきあっている場合もある。中には2年以上、相手が独身だと思ってつきあい、女性が妊娠して初めて、彼が「ごめん」とカミングアウトしたという話も聞いたことがある。

写真はイメージです
既婚であることを告げられなかった男性たちは、「結婚しているといったら彼女に逃げられると思った」「もうじき離婚が成立するはずだったから」「彼女を失いたくなかった」など、さまざまな理由を口にする。
遊びのつもりなら独身と偽る必要はない、本気だから既婚だと言えなかった、相手に対して真摯な気持ちを抱けば抱くほど、言えなくなったと男性たちは言うのだが、「真実を隠して嘘をついた」時点で、信頼関係は崩れ去るのだ。
離婚協議中であるなら、はっきりそう告げればいい。それでもつきあうかどうかは女性側に委ねるしかない。嘘をつけばつくほど、バレたときに女性の傷は大きく深くなる。既婚だったことへのショックと長く嘘をつかれていたショックが傷を倍増させるのだから。
今回の紗理奈さんの場合、相手はすでに別居しており、夫婦関係が破綻しているとみることもできる。そうだとすれば、法律上、破綻後に恋人がいたとしても、それは離婚には影響しない。
ただ、何をもって「破綻」とみなすかどうかがむずかしい。別居して5年もたっていれば、すでに破綻していると認定されるだろうが、彼女の場合は、彼が東京に拠点を移したのが今春なので、それをもって破綻とは言い切れないだろう。
しかし……心許して、この人だと思ってつきあっていたのに、ある日突然、しかも第三者から「あの人、結婚してるんだよ」と聞いたときの衝撃を考えると、鈴木紗理奈さんには同情を禁じ得ない。そんな女性たちは多いのだろう。「私もそうだった」というコメントがネットには数多く寄せられている。
たとえば、女性側に結婚の意志がないとする。だったら自分が既婚であることを告げなくてもかまわないだろう、今、ふたりが一緒にいることが真実の愛なのだからと男性は考える。
だが女性は、結婚の意志がないとしても、相手が既婚か独身かによって関係性は変わると主張する。つまり、フェアではない、ということだ。
相手が既婚でもつきあっていたいと女性が判断するなら、それもいいだろう。自分の意志決定のよすがになる基本的なところで、相手が隠したり嘘をついていたりしたら、すでにフェアな関係とは言えないのだ。そこに大きな問題があることを男性たちは重視したほうがいいのではないだろうか。
<文/亀山早苗>