今回の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)は、とにかく壮大で豪華! というだけではない作品です。
1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島で起きたさまざまな物語が、主人公・鉄平(神木隆之介)のノートに記され、それは現代に生きる鉄平とそっくりなホストでありもう1人の主人公・玲央(神木隆之介/二役)へと繋がっていきます。

画像:TBSテレビ『海に眠るダイヤモンド』公式サイトより
鉄平を主人公とする端島編は、“何もないけれど夢と活力に満ちあふれた時代”を生きる鉄平をはじめとする若者たち(杉咲花、土屋太鳳、池田エライザ、清水尋也、斎藤工)による群像劇。繊細な心理描写とともにイキイキと描かれており胸が高まりました。
一方で、無気力なホスト・玲央を中心とした“一見して何でもあるけれど若者が夢を持てない”現代編は、謎も多く「端島編がどう現代に結びついていくのか」に注目が集まりました。
過去と現在、未来の繋がりを、愛と優しさをもって伝える
入念に描かれた点と点が繋がっていく、脚本家・野木亜紀子氏の構成はあっぱれ! 登場人物たちの心情を浮き彫りにし美しく伝える監督・塚原あゆ子氏の手腕も光りました。
私たちのイマは過去を懸命に生きた人たちによって創られており、私たちのイマが未来の人たちの礎(いしずえ)になる。そんな当たり前のことを、愛と優しさをもって伝えてくれた純度の高い人間ドラマだったと思います。