
「彼のご両親は、とても温かく私を受け入れてくれました。両親を亡くしている分、新しい家族ができたと心が弾んで嬉しくなったのを覚えていますね」
ところが、鈴子さんが彼の実家に引っ越した翌日のこと。夕方になると、庭先から知らない人が次々と家に入ってきたそう。
「沖縄の方言なので、何を言っているのかよくわからなくて初めは戸惑いました。とにかく、私のことを受け入れてくれて誰もが優しく声をかけてくれていましたね。ただ、家にくる人数が多くて頭が混乱してしまって……」
その日、鈴子さんの歓迎会だと集まった人数が25人。庭にもテーブルを出して、大勢での宴会が朝まで続いたといいます。
鈴子さんの歓迎会は終わったものの、その後も毎晩のようにお客さんが来たそう。沖縄の離島では、毎晩大勢で飲み明かすことは “日常”でした。
「翌日も、その翌日も毎日家に何人もの人がやってきて一緒に夕飯を食べるんです。結局、いつも家族以外の誰かが家に常にいる状態でした。義母は『今日もゆんたくするよ』と言って、毎晩お酒のつまみをたくさん作っています」
鈴子さんが嫁いだ離島では、「ゆんたくする」とは家に集まっておしゃべりするという意味。語らいながらお酒を呑み交わすのですが、夕方に集まって朝まで続くのが普通だったそうです。
「私は一人暮らしが長いので、常に誰かがいて騒いでいることにストレスを感じていました。お酒がまわると、みんな同じ話を繰り返すので聞いているのも疲れてしまって」