子どもへの性加害者は、親を油断させ信頼を得てしまうことも。小児科医が教える“性被害を受けた子が出すサイン”とは
加害者の3つの特徴
――子どもを狙う性加害者には、どんな特徴があるのでしょうか。
今西:注目すべきは性加害者の年齢、見た目といった外的様子ではなく、加害の手法です。まず1つ目に、加害者は子どもが1人きりになるチャンスを常にうかがっています。彼らは事前に入念な下調べと準備をし、子どもを襲うチャンスをひたすら待ちます。
2つ目に、加害者が子どもに接触するための手法として、「子どもに接する職業に就く」があります。小児科医や学校の教員だけでなく、学童保育指導員、児童養護施設の職員、塾の講師、スポーツクラブや習い事の指導者、幼稚園バスの運転手など、教育関係で子どもに近づきやすい職業は沢山あります。
3つ目は「グルーミング」です。私なりの言葉でいうと、「性加害を目的に、親切を装って子どもに近づき、信頼や依存を高めて油断させること」です。
周りの大人から一定の信頼を得て、「あの人なら子どもを任せても大丈夫だろう」と子どもだけでなく、親のことも油断させます。ジワジワと子どもと距離を詰めていき、性被害を受けた時には、子どもは関係性が壊れることを恐れて誰にも言えなくなってしまいます。
――加害者の行動の特徴を知ると、誰を信じればいいのか分からなくなりそうです。
今西先生:僕自身、子どもの性被害について勉強すればするほど「何が起きてもおかしくない」と思うようになりました。うちには3人女の子がいるので、保育士さんや学校の先生を信じてはいるのですが、心の片隅では誰にでも起きるものだと身構えています。
「お腹が痛い」「学校に行きたくない」性被害を受けた子どものサイン
――性被害を受けた子どもはどんなサインを出すのでしょうか?
今西先生:被害を受けたことを直接話してくれる子どももいますが、幼い子の場合は自分がされたことを理解することができないことが多いです。
そういう時は、身体症状としてお腹が痛くなったり、「学校に行きたくない」と急に言い出したりすることがあります。不登校に隠れているケースは結構ありますね。
すぐには話せなくても、思いがけないタイミングでポロっと話してくれることがあるので、普段から話をよく聞いてあげることが大切だと思います。
――子どもに話を聞くときは、どんなことに注意するべきでしょうか。
今西先生:「イエス、ノーで質問してはいけない」とはよく言われます。なぜなら、「何かされたの?」と聞かれたことに対して、「イエス」と言えなくて、「ノー」と答えてしまうことがあるからです。そのままズルズルと時間が経ってしまうことがあります。
オープンクエスチョンで、「最近はどんなことがあった?」とか、「学校での様子を聞かせてね」というふうに聞いた方がいいですね。普段から親子で意思疎通ができていれば、子どもは必ず言ってくれると思います。
<文/都田ミツコ>都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。
1
2


