「子ガチャなんて言う親がいたら神経を疑う」親ガチャ、無課金妊婦…ゲーム用語で傷つく育児当事者たち
「子ガチャなんて言う親がいたら神経を疑う」
さらに「親ガチャ」同様に、「子ガチャ」の表現も。
発達障害の子どもを育てる知人に話を聞いてみると、「『うちは子ガチャに当たった』なんて言う親がいたら神経を疑う。『子ガチャ』は絶対に自分たちでは口にしたくないし、頭にも浮かべたくない」と、怒りにも近い気持ちを吐露していました。
「『自分は問題ないのに子どもが障害者の親は、子ガチャに外れてかわいそう』という意見をネットで見たときに胸が苦しくなりました。
でも『発達障害児に産んでごめんね』という発想自体が子どもに失礼だなと思い、気持ちを立て直しました。障害の有無や容姿、健康、学力、性格など、子どもを育てる上で心配になることはたくさんある。
それでも、どんな子どもが当たりか外れか、なんて価値観はいらないですよね。どんな子どもであってもわが子はかわいいのだし、『絶対に幸せにする』覚悟こそが育児には大事だと考えながら、子育てをしています」
子育てを“無理ゲー”にさせているのは何か
子育てそのものもゲームに喩えられているのは、「難易度が高すぎて絶対にクリアできない」という認識が強まったゆえなのでしょう。
ただし、ゲームは誰かが作ったストーリーです。用意されたキャラクターやアイテムを駆使しつつ、場合によってはガチャに課金しながら攻略を進めれば、クリアできるようになっているもの。
対して妊娠や子育てにおいては、一つひとつの壁にぶつかるたび、試行錯誤しながら自分たちにとっての「正解」を見つけていくしかなく、明確な“クリア”はそもそも存在しません。
課金してガチャをたくさん回すことで、誰もがほしがるレアアイテムを手に入れられるといった構造とは、決して同一視できないはず。
ゲーム用語で表すことは、キャッチーさを持たせ、当事者以外にも共感を呼びやすくなるメリットがあるかもしれません。
しかし、ゲームと同じ価値観や重みで妊娠や子育てを語るのは、命を軽んじてしまう危険性とも背中合わせなのではないでしょうか。
<取材・文/エタノール純子>エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中
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