車のタイヤの上にいるところを保護された子猫→優しい飼い主さんと共に生きた16年間の“猫生”とは
ともに「甲状腺機能亢進症」の治療に励んだ日々
体調に大きな変化があったのは、2024年3月のこと。マメくんは突然、食事ができなくなりました。
通院にも大変な負担が伴うため、飼い主さんは往診専門の獣医師を呼び、検査をしてもらうことに。すると、「甲状腺機能亢進症」と診断されました。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺のホルモン過剰によって発症する病気です。
10歳以上のシニア猫でみられることが多く、「よく食べるのに痩せる」「多飲多尿」「落ち着きがなくなる」などの、様々な症状が現れる病気でもあります。
マメくんは投薬治療をしながら、経過観察することになりました。治療開始から2か月ほど経つと数値が落ち着いたため、飼い主さんはほっと一息。
しかし、今度はめまいやふらつきといった症状が現れてしまいます。薬の副作用が疑われる症状であったことから、減薬して様子を見ることになったそうです。
「薬を減らすとふらつきは収まりましたが、次第に肝心な甲状腺の数値や腎臓の数値が悪くなってしまいました」
病気の発覚から5か月ほど経った2024年7月には、衰弱した様子に。飼い主さんは1日置きに往診を頼み、点滴をしてもらったと言います。
しかし、7月11日、マメくんは眠るように息を引き取りました。最愛の家族を天国へと失ったことで、飼い主さんはペットロスに陥ってしまいます。
「外出しても、理由もなく涙が流れ、止まりませんでした。マメは帰宅時にいつも出迎えてくれていました。あの子が玄関にいない現実に、涙が止まらなかったんです」
うちの子クッションが“猫型の穴”を満たしてくれた
心と体に寄り添ってくれていた愛猫がいない――。その深い悲しみから抜け出すきっかけをくれたのが、SNSのフォロワーさんから教えてもらったという「うちの子クッション」でした。
実はそのフォロワーさん自身も、愛猫の写真でリアルな猫クッションを作り、心を癒していたそう。
「すぐに注文しました。クッションが届いた時は、マメが帰ってきてくれたようで本当にうれしかったです」
飼い主さんはこのクッションを、マメくんがいつも座っていたソファーに置くことで、「近くにいてくれる」と感じられるようになり、心が救われたそうです。
「ほとんど泣かなくなりました。マメのクッションとは毎晩一緒に寝ていますし、旅行にも連れて行っています」
愛猫を大切に思うほど、ペットロスの傷は深くなるもの。この先、飼い猫の長寿化が進むにつれ、ペットロスによる苦しみはより深刻化する可能性もあります。
そうした時、ぽっかり空いた“猫型の穴”とどう向き合い、どう最愛の子を弔えばよいのか――。
愛おしく思う命に対峙する心の重みや痛みに、種の違いはあるわけがありません。大切な家族と過ごせるこのかけがえのない日々を、大切に噛み締めなければと今一度思わされます。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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