――救おうとする言動が当人との軋轢を生むというのは、やるせないですね。でも、どうすれば?
大石先生:悪いホストや恋愛対象者は、本人が孤立する状況を望んでいます。そのほうが、自分の言うことを聞かせやすい、コントロールしやすいですから。そういう状況を作らないためにも、本人の言動を否定せず、見守ることが大切です。
――否定せずに本人を見守っていたら、問題が大きくなりそうです……。
大石先生:ときには親御さんの財布からお金を持って行ってしまうことがあるかもしれませんし、我が子が風俗で働いていることを知ってショックを受けることもあるかもしれません。それは親御さんにとって、とてもつらく悲しく苦しいことです。でも、グッと我慢。「言動を否定せず見守る」という対応は遠回りのように感じると思いますが、こういった方法でホストや恋愛対象者との縁を切ることに成功したケースも多いです。
――家族などまわりの人たちは、「いつまでこの状態が続くのか」とすごく不安になると思うのですが、忍耐強く見守ることが最善の策なのですね。
大石先生:まわりが否定しない。本人にとって、自分の言動を否定されない、自分の居場所や帰れる場所があるということはとても大事なことです。疾患の影響で、先のことよりも“いま”を優先してしまうとはいえ、ふと「このままでいいのかな?」と感じるときがある。そのときにまわりが、怒らず否定せず話を聞いて受け入れていくことで、状況が改善することも多いです。
――う~ん……。家族など身近な人にとって、じっと耐えているだけというのはしんどいかもしれませんね。それに、本人にかける言葉選びも難しそうです。
大石先生:本当は、本人が治療に来てくれるのがいちばん。でも、まわりが本人に「治療に行きなさい」と言って診察に来てくれる人は、すごく少ないです。相談に来ても1~2回でやめてしまうなど本人が診察や治療に足が向かないことも多いので、そういった場合には家族の方が精神科などの医療機関に相談することをおすすめします。