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“ホスト狂い”の女性を周囲の人は「否定せずに見守ってほしい」ワケ。医師が明かす最悪のケースとは

相談・治療に利用できる制度や社会復帰までの流れ

診察 病院――家族だけでも相談できるのですね。費用はどれぐらいかかりますか? 大石先生:家族だけでも相談できますし、家族だけの相談の場合でも健康保険や公費負担制度の利用も可能です。ただ、家族相談の費用は各クリニックによって異なりますし、自費の場合もあります。公費負担制度を利用した場合の例として、当院だと1回約700円。また、全国どこからでも可能なweb相談という方法もあります。 ――公費負担制度について詳しく教えてください 大石先生:精神科の通院患者さんを対象に、国や都道府県、そして指定都市が通院医療の90%を公費で負担する自立支援医療公費負担制度のことです。申請には3~4週間ほどかかる自立支援診断書が必要となりますが、申請することで通常3割の患者さん負担が1割の負担となり、各家庭の収入によって1か月の自己負担上限額が決まるなど相談や治療にかかる費用を抑えることができます。 ――本人だけでなく、家族が相談する場合にも健康保険や公費負担制度が利用できるというのは覚えておきたいですね。あと、相談から社会復帰までの流れも知っておきたいです。 大石先生:人によってそれぞれです。軽度の人であれば、同じ問題を抱える患者さん同士で体験したことを話したり聞いたりすることで共感し、励まし合い、問題行動をやめ続けるモチベーションとなるミーティングが有効です。ミーティングはこれまでの学生生活や仕事をこなしながら、2~3回ぐらい参加して通常の生活に戻る人もいます。

破産・生活保護・グループホームでの治療など

――では、生活が破綻してしまったなど深刻な人はどうですか? 大石先生:場合によっては自治体や弁護士などとも連携しながら、破産や生活保護の手続きなどを並行して進め、ホストや恋愛対象者との縁を断ち切るためにグループホーム(回復施設)へ入居して治療をする場合もあります。 ――大石クリニックのグループホームには、部屋にお風呂やトイレが付いた完全個室型の施設もあるのですね。こういった回復施設に入ったあとは、どのような治療を受けますか? 大石先生:たとえば、症状の再発防止に科学的効果が認められている認知行動療法に基づき作成したテキストを使った「集団認知行動療法」があります。ほかにも、自分の認知や感情、身体の感覚を受け入れ、自分の中で起きていることを客観的に眺められるよう導く「マインドフルネス認知療法」など。ほかにもさまざまありますが、患者さまによって治療法が異なります。違和感や心配事がある方はまず、ご相談いただければと思います。 ==========  もし、ご自身や家族など身近な人が、ホストや恋愛対象者への依存が原因で苦しんでいると気づいたら、驚きやショックを受けるかもしれません。けれど気づいた段階で適切な治療を受けることで、いまの状況から抜け出せる可能性も十分にあるといえるでしょう。 【大石雅之】 厚生労働省より「依存症専門指定医療機関」や「通院医療機関」として指定を受けているほか、神奈川県警察より「ストーカー加害者の精神医学的治療等指定医」としての委嘱も受けている医療機関、医療法人社団 祐和会「大石クリニック」の院長。依存症治療に30年以上携わり、多くの依存症患者と向き合う日々を送っている。 <取材・文/山内良子>
山内良子
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。
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