――苫田まきとご自身が似ているということで、彼女に共感する部分もあったのではないでしょうか?
松井:思っていることを口に出せなかったり、自分に自信がなかったり、周囲に合わせてしまったり、そういうところが本当に昔のわたしのまんまです(笑)。仕事を始めてから20代前半くらいまで、その性格が抜けるまでがわりと長かったですかね。
――変われたきっかけは何かあったのでしょうか?
松井:これと言ってなかったのですが、日々お芝居の仕事をしていく上でだんだん強くなっていったというか、わからないことは聞いたほうが解決しますし、話していても伝わらないことってあるじゃないですか。話していても伝わらないということは、そもそも言わなければ何も始まらないんですよね。当たり前のことなのですが、そう思えてからは、口下手でもいいから自分の言葉で伝えるようにしました。強くなりました(笑)。
――自分で言い切れるって素敵です。
松井:そう思えてからは、生きることがとてもラクになりました。今はそれほど悩みもなく、この数年は自分のことでくよくよすることはなくなりました。もちろん仕事の悩みがないわけではないですが、階段をちょっとずつのぼって行って、今の心境に辿り着いた感じです。
――10代、20代前半の頃と比べて、今は仕事との距離感はどのように取っていますか?
松井:昔は仕事を頑張りましょう、休んじゃダメというような感覚が自分の中にあって、どうしても仕事が一番になっていました。一生懸命にならくちゃいけない、失敗しちゃいけない、周囲に迷惑かけないようにしなきゃと、自分で自分を苦しめて生きていたような気がします。でも、ここ最近はいろいろなことを開き直って考えるようにしたら、とてもラクになったんです。今は休むときはとことん休みますし、何もしない日も作ります。上手に仕事と休みのバランスが取れるようになったと思います。
――開き直るって大事なときもありますよね。自分の殻を破ることにもつながりそうです。
松井:そうですね。それこそまきじゃないですが、仕事もプライベートも全部頑張らないと、となると、限界がくるんですよ。だからこの日は何もしないとか、日々喜びを作ることも大事。本当に小さいことでいい、お風呂が気持ちいい、ご飯が美味しい、それだけで少し心が軽くなる。そんなことを最近は大切にしています。何事もネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに捉えられることを日々探しています。