90年代「平均視聴率20%超ドラマ」主演・51歳俳優が久しぶりにメディアに。現役な色っぽさとスター性とは
金城武が、久しぶりの芸能活動だと話題である。アジア映画を代表するスター俳優であり、平均視聴率が20%を超えた主演ドラマ『神様、もう少しだけ』(フジテレビ系、1998年)などの日本のテレビドラマにも出演した。
話題を集めているのは、中国の無印良品が新たに発表した広告ビジュアル。これを俳優仕事にカウントするかはともかくとして、2017年に撮影された映画『風林火山』は公開延期状態だ。
その近影と近況が常に話題になる金城武。男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。
カメラがあって俳優がいる。それだけで映画という表現が成立するわけではない。カメラと被写体となる俳優の間に有機的な関係性が必要である。有機的な関係性とは、アクションと運動と換言してもいい。
つまり、俳優が動く(アクション)。その動き(運動)をここしかないとうポジションに置かれたカメラが捉える。それを見た観客が、前のめりになって画面を見つめる。画面上を移ろう一瞬の動きを(観客が)逃さず瞳に焼き付けたいと思う衝動。この衝動が映画表現だと定義したような世界的名作がある。1994年に公開された『恋する惑星』である。
監督は、ウォン・カーウァイ。カーウァイ監督が向ける手持ちカメラがすくい上げた金城武の名前が一躍世界に知られた映画作品だ。細かいカット割のリズムに合わせて金城武が動く。そこにはただ表現があるだけ。これが映画だという瞬間がきらめく。
『恋する惑星』では、金城演じる刑事・モウが恋する相手にひたすら電話をかける冒頭場面が印象的である。相手が好きだというフード屋の前にある公衆電話を陣取り、受話器を耳にあて続ける。途中、受話器を持ちかえたりする瞬間の刹那的きらめきをカメラは逃さずに捉える。
後景にフードが並ぶガラスケースがあり、前景の金城との光のコントラストが美しい。カメラはここしかないというポジションから、本作をきっかけに世界的俳優になる金城武の生々しい魅力を存分に引き出す。
この冒頭場面のいくつかのショットとその積み重ね方が、金城武の取扱説明書みたいになっている。そこには金城武リアリズムとでも呼ぶべき、映画のきらめきが詰め込まれている。同作から実に30年。現在の金城が、稀有なスター性を懐かしく感じさせながら、よりあざやかな存在感を発揮している映像が話題なのだ。
一躍世界に知られた名作映画
現在の金城武が話題の映像
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