そしていよいよ、グランピングの日。恵子さんは彼に褒められたことがある、真っ白なスカートにお気に入りのヒールサンダルを履いて行ったそうです。
「グランピングで優雅にワインを飲む姿を想像していました。リビングルームのように快適で、ベッドもあるだろうし、私は現地でのんびりできると思っていたので……。
彼も『現地にすべて揃っているから、恵子ちゃんはきてくれるだけでいいからね』って言っていたんですよ」
恵子さんは彼の車の助手席に座り、彼たわいの無い話をしながら現地に向かいます。

ところが、到着したところは山奥のキャンプ場でした。
「さすがに、そこからグランピング施設に移動するものだと思っていたんです。そしたら、彼がそのキャンプ場の隅に車を停めて、『ここから歩いていくよ』って。車を降りると地面は湿った土で小石もたくさんあるし、すごく嫌な気分でした」
そこから5分ほど歩いたところにあったのが、恵子さんの彼が予約したテントだったそう。
「彼が『ここかな』と言ったところが、普通の小さいテントだったの。あの時は、頭の中がフリーズしてしまいましたよ。え? まさか、嘘でしょう? って」
恵子さんが彼に、「ねえ、グランピングじゃないの?」と聞くと、「え? グランピング?」と驚いた顔をしたそう。