Human

奇跡の52歳が語る「20代から白髪です」。イジメと心の病で白くなった髪を、誇りに思えるまで

コンプレックスを克服できたわけ

52歳、今ようやく人生が始まるの自分の気持ちを吐き出すために始めた詩作が、音楽活動につながり、やがて夫となる「殿ちん」と出会います。殿ちんのおかげで少しずつ症状は改善しますが、状況は一進一退。白髪もそのままで、当時は隠すことに必死になっていました。 ブリーチに金髪。コンプレックスをカバーするための工夫が、「素敵ですね」という誉め言葉となって返ってきたのは、姫さんにとっても意外だったのかもしれません。しかしその驚きがうれしさに変わり、姫さんは気づきを得ました。「コンプレックスだと思っていたことが、『特別な私』を演出する強みになった」と。 人には皆、何かしらコンプレックスがあると思います。どうしたってマイナスにとらえてしまいますが、他人様の目には素敵に映っているかもしれないのです。病気も、身体的な特徴も、つらさや苦しみと対峙して、努力を重ねた末の産物だとしたら。全部をまるごと愛してあげたくなりませんか。 そこから本当に輝く笑顔と、人生が幕をあけるのではないでしょうか。

白髪でよかった、そう思えるまで

52歳、今ようやく人生が始まるの20代は、まだ白髪とは無縁な年代。ブリーチや金髪も、おしゃれとして楽しむのが一般的ですが、姫さんの場合は異なりました。 「白髪になってしまった自分の髪の毛が嫌いすぎて」という悲しい本音が根底にあって、しかも毎日、鏡で悲しさと見つめ合わなくてはなりません。 毎月のように白髪染めをして、頭皮もボロボロになりました。紆余曲折を経て、「頭皮につかないよう黒が残っていた部分もブリーチして真っ白に。そこから金髪にするように」という美容師さんの提案を受け入れます。 「透けるような金髪」は美しくもありましたが、姫さんご自身は好きになれなかったそうです。 白髪をカミングアウトしたのは、コロナ禍がきっかけでした。久しぶりに美容院に行ってブリーチした時、髪の毛が半分ほど切れてしまったのです。苦楽を共にした髪の毛が、限界を迎えてしまったのでしょうか。「白髪の地毛で生きていくしかない状況」を、姫さんはどう受け止めたのでしょう。 「もう隠したりごまかしたりしなくていいんだ」というストレスから、姫さんは解放されたといいます。正真正銘、まっさらな自分で生きられる。解放感と清々しさは、本書に掲載されている写真で、あふれるほど伝わってきますよね。
次のページ 
私だから語れること
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ