『あんぱん』の“空気”を一変させたイケオジの正体は?「アニメ界の超有名人」が朝ドラで見せつけた実力
NHK連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)に登場した新キャラが早くも視聴者の心を掴んでいる。それは6月26日に放送された第64回から登場している、「高知新報」の記者・東海林明(津田健次郎)だ。
亡き夫・次郎(中島歩)がきっかけで興味を持った速記のスキルを磨くため、闇市にいる人々の会話を“盗み聞き”している朝田のぶ(今田美桜)に興味を持ち、「君のような人を我が社は待っちょった。採用」と口にして名刺を渡す。
第65回では、その言葉を信じて高知新報を訪れたのぶだったが、東海林は酔った勢いで「採用」と口走ったようで、そんな記憶も権限もないという。諦めて帰ろうとするのぶに東海林は入社試験を受けることを提案。後日、試験の面接時に高知新報の編集局長・霧島(野村万蔵)から、過去に“愛国の鑑”として祭り上げられたことを問いただされる。
のぶが面接室を去った後、のぶの採用を見送ろうと考えている霧島に対して、東海林は「世の中も、俺も、あんたらも、変わらんといかんがじゃないですか」と説得。そして、「責任は俺が持ちます」と言い切ってのぶの就職を後押しした。
第66回ではのぶが書いた記事を酷評するなど、仕事に対する厳しい姿勢を見せる。ラストではのぶが徹夜で仕上げた原稿を手に取り、「ダメやな。お涙頂戴の記事らあて鼻紙にもならん」と口にするが、「温度のある記事や。これを明日の朝刊に載せる」と、まさかの一度落としてから持ち上げるツンデレ発言。
さらには、「夕方まで待っちゃるき、いっぺん帰って寝たら、もうちっと短うして持っておいで。40行や。えいにゃあ」と続ける。当時では珍しく働き方改革を意識したこの気配りに、筆者の心の中で独自集計している「理想の上司ランキング」で上位入賞を確実にしそうな存在感を示した。
東海林というキャラは登場して間もないにもかかわらず、早々に視聴者に受け入れられている。その背景としてやはり津田の演技力があまりにも大きい。まず東海林の魅力は、仕事への情熱と、酔って記憶を飛ばすなどの“ドジっ子”ぶりが織り成すギャップにある。ただ、ギャップによって人気を集めるキャラは多い。ここで特筆すべきなのは、東海林の登場回数がまだとても少ないということ。
通常、時間をかけてキャラの一面を定着させたうえで別の面を見せることでギャップは生まれる。つまり時間をかけなければギャップは成立しにくい。しかし東海林は『あんぱん』では“ぽっと出”だ。にもかかわらず、早くも上記した2つの顔を視聴者にしっかりと示し、ギャップを感じさせるのだから、津田健次郎の表現力の高さを感じざるを得ない。
「理想の上司ランキング」上位確実の存在感
“ぽっと出”の東海林がここまで歓迎されている要因
通常、時間をかけてキャラの一面を定着させたうえで別の面を見せることでギャップは生まれる。つまり時間をかけなければギャップは成立しにくい。しかし東海林は『あんぱん』では“ぽっと出”だ。にもかかわらず、早くも上記した2つの顔を視聴者にしっかりと示し、ギャップを感じさせるのだから、津田健次郎の表現力の高さを感じざるを得ない。
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