しんどい展開が連続する内容となっているが、特に描くのがつらかったシーンはどこだったのか。
「美春の祖母・千代は私のおばあちゃんがモデルなのですが、私も上京して自分の生活ばかりを優先し、美春のように実家にはあまり帰らないでいました。そして、
美春同様、おばあちゃんの死に目に立ち会えず、そのことを今でも後悔しています。
作中でも似たシーンが描かれているのですが、その辺りは描いていてしんどかったです。作中では千代が『美春が一番大事』と言っていたことを母親・洋子から聞かされるのですが、ここは『私のおばあちゃんも私に対してそう思ってくれていたら嬉しいな』という思いで描いています」
家族の話が出たが、本作をうみの氏の母親も読んだらしく、「
母親も上京したことのある人間なので、美春にとても共感してくれて、『いい作品だった』と言ってくれました」と語った。
港区女子のリアルな体験談に加え、うみの氏自身の辛い体験も作品内に織り交ぜながら描かれた『
人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』。いろいろな人の人生を追体験できる一冊と言える。
<取材・文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):
@mochizukiyuuki