ちなみに、ギャラ飲みにおける敵はセクハラ加害者だけではないという。
「アプリでギャラ飲みに参加した場合、先ほど話した通りアプリ経由でギャラが振り込まれます。ただ、たまにチップ的な感じで現金を手渡ししてくれる人もいるそうです。とはいえ、直接のお金の受け渡しをNGにしているアプリは少なくありません。
ですので、仮にお金を直接もらった場合、一緒に参加した女性に『直接もらっちゃった』とポロっと言ってしまうと、
アプリにチクられて退会させられるケースもあるのだとか。だから、その時には『誰にもバレないように絶対に隠さないといけない』と話していました」
ギャラ飲みでもらえる金額は破格ではあるが、精神的にはかなりしんどい“仕事”なのかもしれない。
最後に『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』に込めた思いを聞く。
「港区女子が転落する様を『自業自得』と言う人もいるかもしれませんが、私も多少なりとも共感する部分はあります。ただ、その背景には、貧困問題、地域間格差、『若さ』が過剰に持ち上げられる現代の価値基準、ルッキズムが叫ばれている時代に逆行して支持されている外見至上主義、といった要因が少なくありません。
そういった現代の歪みを、美春の歩みを通して考えてもらえると嬉しいです」
実は港区女子が生まれる背景には、私たちが日々感じている生き辛さが影響しているのかもしれない。『
人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』が、そのことに気付く機会を与えてくれそうだ。
<取材・文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):
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