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「俺いつ死んでもいい」44歳・2児の母が夫の発言にモヤモヤした理由「面倒な妻かもしれないけど…」

「死ねない」と思った日。母になって変わった、生きる覚悟

大木優紀 振り返ると私には、壮絶な出産を経て、長女を抱いたときにすごく強く持った感情がありました。 「ああ、私は、もう絶対死ねないな」って。  それまでも「親が悲しむから」とか「周囲に迷惑をかけるから」といった理由で、「死んじゃいけない」という意識はどこかにありました。でも、このときに芽生えた感情は、それとはまったく別の次元のものでした。  この子が自分の足で歩き、そして社会で生きていけるようになるまで、なんとしてでも、生きて育て上げなければならない。「死ねない覚悟」と「生きることへの責任」が、心の奥底から湧き上がってきたのです。  それはもう、人生の価値観がガラッと変わるほどの感覚でした。  その後、もう一人子どもが生まれ、この「死ねない覚悟」は母として、ますます強くなっています。  正直、仕事での私の代わりはすぐ見つかると思います。ちょっとだけ寂しいけれど。しかし、母親という役割に代わりはいない。だからこそ、私は「絶対に生きなければ」という重圧を、毎日どこかで感じながら生きています。  それに比べて、「いつ死んでもいい」と、軽々しく口にできる夫を見たとき、「ああ、これは父親と母親の覚悟の違いなんだな」と感じてしまったんですよね。  きっと夫が言いたかったのは、そんなことではなかったと思うんです。  それでも、私はちょっとモヤっとしてしまったんです。「そんな寂しいこと言わないで」というしおらしい妻にはなれず、「軽々しく死ぬとか言うなー! 子どもたち、まだ小学生だぞー!!」という感じで(笑)。

「子どもの予定を優先する上司は頼れない?」夫婦の価値観のズレ

アクティビティ 実は、もうひとつ夫とのやりとりのなかで、モヤモヤしたことがありました。  最近、子どもの学校の面談があり、そのために仕事のスケジュールを調整したんです。  幸い、私の職場は比較的フレキシブルに働ける環境なので、Googleカレンダーに「私用ブロック」と入れておいて、近しいメンバーには「子どもの学校行事があるので」と事前に伝えておけば、理解してもらえます。  一方で、今度は夫も一緒に面談にいかなればならない状況があったとき、私が夫に「時間を作ってほしい」とお願いすると、「平日のその時間は無理だよ」とあっさり言われてしまったんです。  まあ、職場によって、事情が違うのはわかる。でも、「私も同じ状況のなかで、周りに理解してもらっている」と返したら、こんな言葉が返ってきました。 「でもさ、子どもの予定を優先していなくなる上司って、部下からしたら頼れなくない?」 ……ちょっと待って、と。これまでほとんどの面談を私ひとりで行っていました。だから、夫が行かなくてはならない状況はあまりなかったので、この価値観の違いが浮き彫りにはなってこなかったんです。  夫の言葉を借りるなら、私は今までずっと“頼りない上司”として企業に居続け、働いてきたワケです。ずっとハンデのある状態でやってきているんだよなと思ってしまって。それでも、どうしたって、私にとっては、「子ども」が最優先であるのは、揺るぎない価値観で、そのために「頼りない上司」であることは、やむなしで、やってきました。  夫とはそもそも人生の優先順位が違うのかもしれないと。そんなふうに思ってしまいました。
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夫よ、「死ぬ」なんて軽く言わないで
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