孤独死を描くドラマ『ひとりでしにたい』で、主人公が“35歳→39歳”に変更された理由。「35歳はまだイケイケ」NHK制作陣のリアルな本音
綾瀬はるか主演の土曜ドラマ『ひとりでしにたい』(土曜よる10時~、NHK総合テレビ)の放送が6月21日から始まった。カレー沢薫氏とドネリー美咲氏(原案協力)が手がけた同名漫画を原作としている本作。39歳の未婚女性・山口鳴海(綾瀬はるか)が伯母・光子(山口紗弥加)の孤独死をきっかけに終活に取り組む姿を描いたヒューマンドラマだ。
ネガティブなテーマを題材としているが、綾瀬演じる鳴海の天真爛漫さとポップな演出によって「終活」や「孤独死」について気軽に考えられるような構成となっている。そんな本作の制作統括を務める高城朝子氏に、本作をドラマ化した経緯など話を聞いた。
前衛的な内容の原作漫画ではあるが、今回ドラマ化を決めた経緯は何なのか。
「もともと原作は好きで、私自身も独身で猫を飼っていて『独身女性の解像度が高いな』と思いながら読んでいました。『ドラマ化したら面白そう』とは思っていたのですが、ドラマ化するとなると制作過程の会議でいろいろ意見を出さなければいけません。
独身女性のリアルを表現する必要があり、そのために私自身のプライベートを“切り売り”する必要が生まれます。なので『ドラマ化するとなると自分自身を傷つけなきゃいけないな……』と考え、ドラマ化を進めようとは考えていませんでした」
原作漫画は面白いがドラマ化へのハードルの高さを感じていたと話す高城氏。にもかかわらず、今回ドラマ化に踏み切った要因として、第3回の演出担当・小林直希氏の発言が大きかったという。
「小林がある日、原作を持ってきて『面白いからドラマ化してみたいです』と言ってきました。ただ、小林は20代男性なんです。アラフォー女性でもなければ、終活とも縁遠そうな小林がハマった理由がわからず、掘り下げてみると『原作を読んで、家事や介護を女性に当たり前に押し付けている現状に無自覚だったことを反省しました』と罪悪感を口にしました。
また、彼は生まれてこのかた好景気を経験したことはなく、今日まで不景気しか経験していません。さらに老後2000万円問題がメディアを賑わすなど、将来に明るいビジョンを持てなかったそうです。だからこそ、原作漫画を読んで『老後はどうすれば良いのか』と向き合えるようになったみたいです」
20代男性は“ターゲット外”と思い込んでいましたが、小林氏の言葉を受け、「独身女性だけではなく、若い男性、ひいては上の世代にも響くのでは」と考え、企画書を書き上げたと語る。続けて、「後輩から頼まれると断れない性分もありまして……」と“良き先輩”であることもドラマ化を進めた背景にあったのかもしれない。
ドラマ化では自分自身も“傷つける”必要
独身女性のみならず、幅広い層に刺さる作品
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