
トルコにて。1歳の末っ子君は特に行く先々で可愛がってもらえたそう
こうして始まった世界一周旅への準備。あまりに壮大な計画に、何から始めるのかイメージがつきにくいですが、順番に取り組んでいったことを、教えてもらいました。
「まずは旅に出ると決めてから、出発のタイミングを定めました。悩んだ結果、当時長男がが3歳だったので、彼が小学生に上がる前に行くのが良いかなという話になったんです。
同時に3人目が欲しいと思っていたので、旅は3人目の育休中に行こうと決めました。もちろん、妊娠出産は厳密に時期を選べるものではないので、子どもが未就学児の頃に行くと決めても、最後は神頼みという感じです。まずは目安を決めて、そこに向かって進めていきました」
結果として、おかんさんは無事3人目を出産し、子どもが5歳、3歳、1歳のタイミングで旅に出ることができました。
予定通り育休中に旅は実行できたのかというと、紆余曲折あり、おかんさんは旅の直前に退職。旦那さんは会社に事情を説明し、心よく育休中の出発を後押ししてもらえたそうです。
当時を振り返っておかんさんは、「下の子が1歳の頃に旅に出られたのは(良い意味で)大きい」と語ります。
「海外の人たちは、本当にみんな赤ちゃんが大好きなんです。特に印象的なのは、タイ、モロッコ、エジプト、中南米です。この国の人達は、特に1歳児を可愛がってくれました。私自身も、子どもを生んだことを旅の中で肯定してもらえた気がして、嬉しかったですね」
ちなみに現在、末っ子くんはまったく人見知りをせず、保育園の初日から「いえーい!」と、楽しそうに登園していったのだとか。たくさんの人から可愛がってもらった経験が体感として残り、誰からも愛を感じられる子に育っているようです。
準備期間にInstagramの収益化に成功!でも新たな問題も…

ボリビアのラパスにて
「出発の時期をある程度決めたら、次に今までの旅や世界一周への挑戦についてInstagramで発信を続け、フォロワーを増やし、旅仲間を増やしていきました。準備期間中にフォロワー3万人を達成し、不安定ながら収益化の見込みが立ったので、道中の生活費はInstagram収益から一部賄えるようにもなっていましたね」
おかんさんの旅の資金は、7〜8割は旦那さんの貯金を使用したといいます。ある程度まとまったお金を用意していたとはいえ、旅の間にただ貯金が減っていく生活は、不安も募ることでしょう。
旅をしながら仕事ができるというスタイルを確立できたのは、旅の成功において大きな要因かもしれません。
が、しかし、この“不安解消のために旅の間も仕事をする”という理想的なスタイルが、後に道中の夫婦の衝突にも繋がったと、おかんさんは話します。
「Instagramの発信は、もちろん旅の途中でも行います。しかし時差がある中で積極的にやろうとすると、どうしても夫婦の時間に食い込んでしまうんです。我が家は日中は子どもと過ごし、夜9時以降は夫婦の時間として、話し合いの時間を設けていました。でも、私は時間があればInstagramを頑張りたいと思っていたので、そこで優先順位の違いが浮き彫りになり、何度もケンカに発展しました」
おかんさんの優先順位は、当時「子ども>仕事(Instagram)>夫婦」だったと言いますが、旦那さんの優先順位の1番は、夫婦の時間だったそう。そこですれ違いや不満が生じてしまったようです。

トルコ カッパドキアにて
着々と準備し、世界に飛び出すおかんさん一家。パワフルさに尊敬の念を抱きますが、「この旅は、みんなに助けてもらって実現したもの」だと言います。準備の間に、多くの旅仲間とつながることで、準備も旅の最中も、たくさんの助けをもらいながら進めて行けたのだとか。
彼女のチャレンジを、次元の違う人の話と捉えるか、自分の中にも同じ可能性があると感じるかは、人それぞれでしょう。筆者は子連れ世界一周というチャレンジを聞きながら、私の中にある“子どもがいて諦めてしまったコト”も、まずは少しずつ掘り起こしてみようかな、と思ったのでした。
<取材・文/おおしまりえ>
おおしまりえ
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:
@utena0518