推しているアイドルのグッズが並ぶなど、鳴海の部屋も明るい空気感を演出している要因の1つである。実際、鳴海の部屋もかなりこだわって作り上げたようだ。

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「当初、学芸員の年収を考え、『39歳の未婚女性が買うマンションならこのくらいかな』というリアリティを優先し、鳴海の家は1DK・30平米くらいを想定していたんです。ですが、『
現実を突きつける家なんて誰も見たくないんじゃないか?』と思い直しました。
孤独死を題材にしているけれど、ポップに表現したい。そのため、“おもちゃ箱をひっくり返したような部屋”というコンセプトのもと、美術さんたちが楽しい空間をつくってくださいました」
たしかに鳴海の部屋はとても広く、オシャレなインテリアも多く配置されている。これが“アラフォー未婚者の手の届く範囲の物件”だった場合、孤独死をダイレクトに連想できてしまい、そわそわしながら視聴しなければならなくなる。
細部までポップさの調整にこだわっているからこそ、終活や孤独死といった後回しにしたくなる課題にも、自然と目を向けたくなるのかもしれない。
<取材・文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):
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