最新のアイスはたしかにもの珍しく美味しかったのですが、なんとなく釈然としない気持ちでいると、慶太さんがふとスマホを開いたそう。
「そしたら一瞬でしたが、
4つぐらいマッチングアプリのアイコンがあるのが見えちゃって……つい引いてしまったんですよね。別にそのぐらいたいしたことじゃないのかも知れませんが、私とは求めていることが違うし、合わないなって感じたんですよ」

そのようにして慶太さんをスルーした遥香さんが次にマッチングしたのは、泰明さん(仮名)という31歳の会社員男性でした。
「
泰明さんは和風のシュッとしたイケメンで、さもモテそうなタイプだし少し心配でした。でも、やり取りを気持ちよくできる相手だったので、とりあえず会ってみることにしたんです」
するとたまたまサーティワンアイスクリームがあったので、遥香さんはおみくじ感覚で泰明さんを誘ってみたそう。
「そしたら、
なんと泰明さんはサーティワンでバニラしか頼んだことがないって言うんですよ! 今度は私の方が驚いてしまって」
遥香さんは「私より冒険できない人がいるんだ」とちょっと笑ってしまったそう。

「そして幸せそうに『
とにかくこの味が落ち着くし、シンプルでこれからもずっと飽きない味だから大好き』とバニラアイスを頬張る泰明さんを見て、この人は自分に合うとピンときたんですよ」
話を聞くと泰明さんは、長年お付き合いしていた彼女に突然振られてしまい、しばらくショックで立ち直れなかったそう。それでも半年かけて気持ちを切り替え、ようやく次の恋に進もうとマッチングアプリを始めたのだといいます。
「そして何度かデートを重ねているうちに、そんな一途な泰明さんのバニラアイス的な存在になれたらいいなと思うようになっていったんです」
そして2人はお付き合いをするようになりました。
「泰明さんのお陰で私もサーティワンのバニラの美味しさに目覚めてしまい、
大好きな味がまたひとつ増えました。彼も私がおすすめの海外ドラマにハマってくれたりと、仲良くやっています」と微笑む遥香さんなのでした。
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop