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「子どもがいるから出張は難しいよね?と…」元テレ朝アナが産後に直面した“働く母への偏見”と、それでも希望を持てたワケ

母親という役割が、キャリアにもたらしたもの

大木優紀さん それでも、子どもを産んだことは、私にとってキャリアの“足かせ”ではなく、むしろ大きなプラスでした。  前職では、日々のニュースを「伝える」ことが仕事でしたが、自分が母親になってみて、社会の出来事に対する感じ方が明らかに変わったと感じました。  たとえば、児童虐待のニュースに、ただの事実以上の痛みを感じるようになったり、年金問題や環境問題に「自分の子どもたちが生きる未来」という実感を伴って向き合えるようになったり。  ニュースの背景にある社会の仕組みが、以前よりも「自分ごと」として見えてくるようになった。それは、母という視点を得たからこそ、深みを持って実感できる角度と温度感でした。  さらにもうひとつ、「母親」という新しい役割が加わったことで、仕事にも自然と気持ちが入りやすくなりました。責任感のような気持ちが生まれたのは、「母親」という役割が加わったからだと思います。  子どもが生まれたことで時間に制限ができたのは事実です。でも、時間に制限があるから、フルコミットできないからダメではなく、「今どの役割を担うか」に全集中して、自分軸を持ってしっかりデザインしていく。  私の場合は役割が増えることによって、それがクリアになっていった感覚がありました。そういう意味でも、キャリアにとって決してマイナスばかりではなかったと、今では感じています。

産後復帰は、キャリアの終わりではなく始まり

 産休や育休を迎えたばかりの方、復帰したばかりで不安を抱えている方にとっては、キャリアの面でネガティブに感じる瞬間が少なくないかもしれません。 「この先、元に戻れるのか」「今まで積み上げてきたものが失われてしまうのではないか」そんな不安や焦りを、私自身も抱えたことがありました。でも今振り返って思うのは、産後復帰はキャリアの終わりではなく、「新しい人生のフェーズのスタート」だということ。 「変化した自分」に合わせて、新しい働き方やキャリアの形を再設計できるチャンスでもある。私は、そんなふうに少しずつ視点を変えていくことで、自分のキャリアに対しても希望を持てるようになりました。 【Voicyで聴く】⇒音声版「大木優紀の旅の恥はかき捨てて」 <文/大木優紀>
大木優紀
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。2児の母
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