「俺、限界かも」衝突が不調となり、夫婦の形を見直す

ボリビア ラパスにて
南米に入り、不満を頻繁に口にするようになった旦那さん。そしてついにメンタルに異変をきたすようになり、「俺、限界かもしれない」と、言い出したそうです。
「そう言われて、私も『夫も1人の時間が必要なのかも』と思い、まずは現地のスペイン語講座に通ってもらい、1人になる時間を作りました。あと、帰りたいって言葉には反発せず『そんなにしんどいなら帰ろう』と伝えていましたが、正直この後の、ガラパゴスとウユニ塩湖に、私は一番行きたかったんですよ(笑)。あと2週間旅を続ければ目的を果たせる。そう思ったら、今すぐ帰ろうとは言えませんでした」
そこでおかんさんは折衷案として「ガラパゴスに行ったら帰る」と伝えたそう。でも内心は「ガラパゴスに行ったら、ウユニ塩湖にも行けるな」と考えていたのだとか。
そうして、ウユニ塩湖を最後の目的地にして帰国を決め、日付も1月24日と設定し、夫にも改めて伝え、旅の終わりを迎えます。
「帰国のタイミングは、やっぱり粘りましたね。もう少し粘れるかなと思ったけど、振り返ると本当によくついて来てくれたなって思います。夫は日本にいた頃からマイカーへの愛が強くて、こんなに愛車と離れることがないから、その欠乏感も大きかったんだと思います」

ボリビア ウユニ塩湖にて
世界一周中に、壮絶なすれ違いや不満の爆発を経験した2人。ぶつかりながらも、200日のハードな旅を完走できたのには、2人なりの“仲直りルール”があったからだと言います。
「私たち、次の日には持ち越さないって決めてるんです。寝たらリセット。朝は“おはよう”ってちゃんと言う。あと夫婦ゲンカは、疲れている夜に起きやすいです。だからこそ、夜はあまり話し込まず、朝に話すようにしていました」
ちなみに夫は、旅の途中からアンガーマネジメントの本を読むようになり、自分自身を見つめ直す時間も取っていたとか。
「夫、ほんとに頑張ってくれたなって思います。結果的に、行って良かったって言ってくれてますしね」

トルコ カッパドキアにて
異国での200日間。時差・文化・体調不良・治安・食事と、ただでさえ負荷がかかる中、家族ずっと一緒の生活は、楽しさがある一方で、想像以上の大変さがあるようです。
でも、その大変さを乗り越える過程にこそ、「夫婦の絆」が深まるギフトが待っているのかもしれません。
おかんさん夫婦は、時にすれ違い、時に妥協し、時に「もう帰ろう」と泣きたくなったりしました。そうした苦い思い出も、今は「この人と旅ができてよかった」と思えているなら、それがたぶん、“絆”なのだろうなと思うのでした。
【おかんトラベラー】
1988年生まれ、大阪在住。正社員を辞め、夫と3人の子どもを連れてローンを抱え世界一周へ。英語力ゼロ・バックパッカー経験なしで、200日間14カ国を巡る旅に挑戦。「子連れには今しかできない旅がある」をモットーに、旅で子育てを楽しむお母さんを増やすべく
Instagramや
Voicyで発信中。著書『
子育てはしんどい。だから私は子どもと一緒に旅にでる』はAmazon人気度ランキング総合1位。
<取材・文/おおしまりえ>
おおしまりえ
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:
@utena0518