第6巻の販促漫画では「3回打ち切られた」「損益分岐点ギリギリの漫画」と登場キャラが自虐する場面があるなど、決して連載は順風満帆ではなかったことがうかがえる。連載中の苦労について質問すると、「
本作の打ち切りのタイミングは3巻、4巻、6巻とありました。この辺りの苦労に関して具体的なことは語れませんが、最後まで粘ったから、自分で納得のいく終わり方ができたと思っています」と話す。
「また、打ち切りとは関係なく、
年齢、容姿、年収などセンシティブな要素をギャグ調で扱うことには非常に神経を使いました」
コンプライアンスが厳しい今の時代、多様な表現が許される漫画制作であっても例外ではない。ただ、センシティブな内容でも笑いに変えており、改めて猪熊氏のセンスの高さを今一度感じさせられた。
一方、制作中に楽しかった思い出として、「たくさんの感想をもらえたことです」と返す。
「知名度のない作品でも感想をもらえるのは、Web漫画ならではの特長だと思います。紙のお手紙も何通かいただきました。
正直この漫画で紙のお手紙をもらえると思っていなかったので嬉しかったです。ただ、一通だけ私が外袋をうっかりなくしてしまったため、住所がわからず、Xでお礼を言うことになったケースがありました。手紙と一緒にヨガの書籍を送っていただいた方です。大変申し訳ありませんでした」
また、本作の魅力の一つとして、単行本の表紙デザインが挙げられる。表紙について「まず1巻はすぐに決まりました。赤木さんが表紙なので背景色は赤です。2巻の青島さんの背景色はもちろん青です。ただ、3巻以降の色はなんとなくです」と語る。
「タイトルに“婚活バトル”とあるので、結婚式の衣装を着て武器を持たせることにしました。ただ、
表紙から『登場人物が武器を持って戦うバトル漫画』だと思って読んでいた人がいたので、その人に対しては期待を裏切って申し訳ないと思いました」
「くらげバンチ」のコメント欄には多くの声が寄せられていたが、猪熊氏に直接温かい声を送る人も多かったようだ。そういった応援があったからこそ、猪熊氏が納得するラストを描けたのかもしれない。
<取材・文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):
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