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39歳独身女性が、久々にできた彼氏を“ソッコーで振った”ワケ。年下エリートで将来も安心なのに|ドラマ『ひとりでしにたい』

現代のリアルに歩調を合わせたラスト

『ひとりでしにたい』は孤独死や終活について丁寧に描き、本作の世界観が私たちの生活とつながっていることを思わせてくれた。それだけに、本作が示す孤独死の処方箋が“理解ある彼くんの登場”であるならば納得できなかっただろう
 実際のところ、那須田の言う通り、那須田と付き合えば鳴海の孤独死への不安は軽減される。何より、「使えるだけ使ってもらってもいい」と言えてしまう那須田は、特待生クラスの理解ある彼くんだ。そんな那須田を振って「ひとりでしにたい」を選択したことは、生涯未婚率が上昇し、誰もが恋人や結婚相手を見つけられるわけではない今の時代に歩調を合わせたラストと言える。

困難を感じて、希死念慮にかられる主人公

 次に『しあわせは食べて寝て待て』(2025年4月~、全9話/原作は水凪トリの同名漫画)に触れたい。同作は膠原病(こうげんびょう)を患い、仕事や生活が一変した38歳の未婚女性・麦巻さとこ(桜井ユキ)が、近所の人たちとの交流や薬膳を通して人生を彩っていく姿を描いたヒューマンドラマだ。  鳴海と1つ違いのさとこではあるが、鳴海よりも生活に余裕はない。希死念慮や経済的困窮など、将来どころか今生きることにさえ困難を感じている。
『しあわせは食べて寝て待て』

NHKドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』(画像:公式サイトより)

 隣人・美山鈴(加賀まりこ)の同居人である羽白司(宮沢氷魚)から、薬膳について教えてもらったりなどサポートを受けるが、“いい感じ”になることはない。あくまで“さとこを支える大切な1人”として描かれるのみで、同作でも理解ある彼くんの登場を解決策にはしない。薬膳をきっかけに季節の食材に触れ、何気ない近隣住民とのコミュニケーションにより、さとこの心は徐々に解きほぐされていく。  さとこの恋模様は描かれない。それでも、理解ある彼くんがいなくても降りかかる困難に向き合うことができ、恋愛がなくても人生を豊かにできることが映し出された。
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1人で生きることが前向きに描かれるありがたさ
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