一昔前、ネット掲示板では「妻は家政婦や保育士扱い」「夫はATM扱い」と互いに差別的なラベリングをしていた。当時はまだ昔ながらの夫婦間の役割分担が当然のように残っていた。ただ、今は共働き世帯が主流になり、家事や育児を担いながらも経済的に自立した女性は珍しくない。夫に対する愛情が冷め、「いつでも離婚できるからな」と思っている女性もそこそこいるのではないか。
加藤のこの選択を、十代の息子2人がどのように感じているのかはわからない。また、子どもが大きくなった時、新しい家族の形はまた新しい形に変貌を遂げるのかもわからない。ただ、SNSの反応を見る限り、同居離婚にメリットを感じている女性は一定数おり、今後この“歪(いびつ)な事実婚”は広まっていく可能性は低くない。
<文/浅村サルディ>