ラウールさんは今夏、俳優としても大きな注目を集めました。
これまで2021年公開の『ハニーレモンソーダ』や、昨年公開の『赤羽骨子のボディガード』など主演映画の出演はありましたが、今年7月期『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)でGP帯連続ドラマに初出演し、役者としての評価が跳ね上がったのです。

画像:TVerより
高校教師と売れっ子ホストの純愛を描いたこのドラマは、木村文乃さんが主人公の高校教師・小川愛実を演じ、ラウールさんはそのお相手役となるホスト・カヲルを好演。主演は木村さんですが、ラウールさんも主役級のポジションなので、実質はダブル主演に近い作品でした。
『愛の、がっこう。』において特筆すべきは、ラウールさんの“等身大の若者”演技の上手さ。
このドラマでのラウールさんには大別すると、20代前半の一若者としての演技と歌舞伎町のホストとしての演技、この2つが求められていたのですが、前者がまず秀逸。
カヲルは人なつっこく基本ポジティブなのですが、その明るさは毒親に育てられて愛を知らないというバックボーンも関係しているため、少々ややこしいのですが“影のある陽キャ”というタイプ。その難しい役柄を繊細な表情の変化などで見事に演じていました。
“若者感”がとてもナチュラルという意味では、事務所の大先輩である木村拓哉さんの20代当時に通ずるものがあるかもしれません。時代が違いますので演じている若者の性質は違うものの、その時代の20代を自然に演じているため、往年のキムタクと共通点があるのです。
そして後者の歌舞伎町のホストとしての演技も、良い意味で“ホスト感”が非常に生々しい。
筆者は現役ホストもモデルを務めていた『メンズナックル』というファッション誌にライターとして長年携わっていたため、何十人もの売れっ子ホストと面識がありますが、その視点から見てもかなりリアルに“歌舞伎町のホスト”を体現していたと感じたのです。
ドラマ放送開始前、今年6月に掲載された「Real Sound」のインタビューで、ラウールさんはその秘密について次のように語っています。
《今回、助監督の方が何度も通って、実際のホストクラブを取材してくれたんです。その記録を読むうちに、これは100%理解できる職業とは言い切れないけど、どこかに誰かを救いたい、癒したいという気持ちもあるのかなと思えるようになって。カヲルにもどこかピュアな部分があるんじゃないかと感じるようになりました。》
《カヲルは逆で、“愛を知らない”人間なんです。恋愛感情を演じるのは得意だけど、それが本物になることはほとんどない。今回、実際にホストの方々に取材した際、「愛って何ですか?」って聞いたら、みんな「わからない」って答えていて、なんかすごく腑に落ちました。彼らにとって“愛”はビジネスの中にあって、本物とフェイクの境界線が曖昧なんですよね。》
役者・ラウールはこのように、ホストという職業自体や実際にホストをしている人々の心理の“解像度”を上げていくことで、あのリアルな“ホスト感”を再現してみせたのかもしれません。