織田裕二が“老害”にならなかった理由──世界陸上で魅せた「理想的な立ち振る舞い」とは?
34年ぶりに東京で開催され、熱い戦いを届けてくれた「東京2025 世界陸上」。今年もTBSが独占中継をして、連夜多くの視聴者を熱狂させました。
今回の世界陸上は例年とは大きく様変わりし、女優の今田美桜さんがメインキャスターに、そして男性ボーイズグループ&TEAMのKさんが応援サポーターを務めたことも話題になりました。そんななか、俳優の織田裕二さんはスペシャルアンバサダーとして番組に君臨することに。
世界陸上における織田裕二さんといえば、1997年のアテネ大会から2022年のユージーン大会までの25年間、中井美穂さんとともに世界陸上のメインキャスターを務めました。メインキャスターとしては2022年で卒業しましたが、東京2025 世界陸上ではスペシャルアンバサダーという立場にいました。また、織田さんが歌う名曲「All my treasures」は世界陸上のテーマソングとしても有名です。
もはや“世界陸上=織田裕二”と連想するほど、日本における世界陸上の象徴となっている織田さん。2007年大阪大会で予選敗退した為末大選手に向けて言った「何やってんのよ、タメ」や、同じく2007年大阪大会での「地球に生まれてよかったー!」などの名言、さらには芸人の山本高広さんがモノマネしたことでさらに話題になったことも知られています。
こうした実績から、日本陸上競技連盟から中井さんとともに連盟特別賞を授与された織田さん。2022年でメインキャスターの座は退き、後任にその席を譲ることで世代交代をすると予想されてきました。
しかし、東京2025 世界陸上の開催にあたっては東京開催ということもあり、TBSや日本陸上連盟としても「織田さんなしで世界陸上を中継するのは難しい」と判断したのでしょう。今回のスペシャルアンバサダーという立場は、世代交代を念頭に置きつつも、「世界陸上の織田裕二を見たい」という世間の期待や番組制作側の強い意向が反映された形になりました。
1997年のアテネ大会時には29歳だった織田さんも、現在は57歳。メインキャスターの今田美桜さんと応援サポーターのKさんはともに1997年生まれで今年28歳です。年齢差やキャリアで言えば若手社員と重役ほどの開きがあり、一般社会や企業ならば年長者が「老害」と言われてしまうこともあるポジションです。
しかし、今回の東京2025 世界陸上ではこの3人が絶妙に融合。そのカギを握っていたのは織田さんだったようです。
まず、今田さんやKさんに対するハラスメント的な言動がまったくなかったという点が挙げられます。今田さんは元陸上部ということでキャスティングされていますが、世界陸上に関してはほぼ素人的なポジション。また、今田さんに「可愛いね」と容姿を褒めたりするいわゆる「おじさん的な絡み」もなし。
名門陸上部出身のKさんは当初、レジェンド織田さんに緊張している様子もうかがえました。しかし、KさんがVTRで選手と同じハードルを跳んだり、陸上に関する深い知識を披露したりすると、織田さんは真剣かつ温かな眼差しを送っていました。陸上を愛する織田さんからのKさんへのリスペクトの気持ちが画面越しにも伝わってきました。
“世界陸上=織田裕二”の軌跡と象徴性
57歳の織田裕二、若手との“理想的な共演”
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