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新たな“コミカルダンディ俳優“に?悪役を愛嬌たっぷりに演じてしまう45歳俳優の魅力

新旧“コミカルダンディ”キャラの魅力

 第1話ラスト、初おとり捜査を成功させたスティンガースのメンバーたちを西条が祝福する。審議官室に響くやや大げさでいんぎんな拍手の音。  第2話で再度審議官室。捜査費の高額な箇所について西条が確認する。二階堂が必要経費だと笑顔を向けると、西条が「構わないよぉ~?」とニヤリ返答。  ほんとぶれない人。大学時代はラグビーで鍛えた身体が逞しい。見た目は清潔感ある髭もダンディなイケオジ。それでいて、中身は“コミカルダンディ”。今の玉山鉄二にはぴったりはまる。  昔の玉山鉄二はどうだったか。警察官役としてはまだ抜擢される側だった『BOSS』(フジテレビ系、2009年)。  天海祐希演じるアメリカ帰りの警部・大澤絵里子が、警視庁に創設された特別犯罪対策室の室長になるという同作の発端が『スティンガース』と似ている。  さらに大澤を抜擢する・野立信次郎(竹野内豊)が、軽妙な警察官僚であることも近似値。玉山が演じる片桐琢磨は捜査一課から異動してきた刑事で、『スティンガース』乾に相当する役柄か。  そして興味深いのは、野立と片桐が髭面ビジュアルであること。ここに新旧コミカルダンディなキャラの魅力がある。

新たなコミカルダンディ俳優として

『BOSS』(FODより)

『BOSS』(FODより)

 第1話、野立と片桐が庁内の廊下で会話する場面。朴訥として無骨なキャラの片桐はとにかく暗い。対して野立は振り返った表情もさわやかで底抜けに晴れやか。同じ髭面でも全然印象が異なる。そんなコントラストを思い出しながら、『スティンガース』髭面審議官役を改めて見ると、より明るく、より胡散臭く思う。 『BOSS』放送当時は29歳だった玉山鉄二が現在45歳。『BOSS』から打って変わり、『スティンガース』は、新たなコミカルダンディ俳優としての位置付けを確かなものにした作品だと考えてみる。  第3話では、まことしやかに噂される最強の殺し屋を審議官自らが変装して演じてしまう。ここまでコミカルだと大真面目にも見えてくる。  だから最終回となる第11話で西条が黒幕だったと明かされても全然驚かない。薄ら笑いが張り付いたようなにやけ面は全て本性を隠すための厚い仮面だったんだよなと。  西条の逮捕場面で二階堂が聞く。「私が逮捕してもよろしいでしょうか?」。声をふるわせる西条が「構わないよぉ?」と笑顔で答える。そして手錠をかけられた両手を二階堂に向けて、キュンですポーズをする。  本作の玉山鉄二は、黒幕役をこんなに愛嬌たっぷりキャラに仕立てられる。流石のコミカルダンディ芸当だ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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