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「実父」は大物歌手。事務所社長・小栗旬の“秘蔵っ子27歳歌手”の不思議な存在感とは

 木村文乃とSnow Manラウール共演ドラマ『愛の、がっこう。』(フジテレビ系、2025年)の主題歌「Spiral feat.Yura」は、八分の六拍子が心地よく、楽曲全体が俳優たちの演技にコミットしていた。  それは単にドラマ音楽の役割の一つというより、主題歌自体もまた演じているかのようだった。Yuraとともにこの主題歌を担当したレイニの歌声が助演していたといってもいい。  2025年にメジャーデビューしたばかりのレイニは、話題のNetflixドラマ『グラスハート』(2025年)にアーティスト役で出演した。父は歌手の徳永英明。音楽的な素養を受け継ぎつつも、不思議な存在感を醸している。  男性俳優の演技を独自視点で分析するイケメン研究家のコラムニスト・加賀谷健が、アーティストであり、俳優でもあるレイニの演技力を解説する。

歌と演技を両立する領域区分

 あくまで音楽活動をメインとするアーティストが、俳優活動までこなすためにはそれなりの戦略が必要である。その意味で、2025年にメジャーデビューしたばかりのレイニは、歌と演技を両立する領域区分がきちんとしている。  初インタビュー記事(2025年1月25日リアルサウンド掲載)で彼は演じることについてこう言っている。 「歌う時は自分の気持ちをさらけ出すことができるけど、演技の世界では演じる役のキャラクターやバックグラウンドが自分とはまったく違ったりすると、そこで自分をどこまで出していいのか、そのさじ加減が本当に難しい」  なるほど、同じ表現活動だとしてもその違いをはっきり認識している。「自分をどこまで出していいのか」という率直な疑問は、演技という表現性の本質にまで迫っている。  佐藤健が企画・共同エグゼクティブプロデュース・主演で話題のNetflixドラマ『グラスハート』でレイニが演じるアーティスト役は、まさに「さじ加減」が絶妙な当たり役だったのではないかと思う。

多面的な売り出し方に注目

 木村拓哉主演映画『レジェンド&バタフライ』(2023年)や『相棒』season23(テレビ朝日系、2024年)ゲスト出演などを足がかりに、俳優としても着実に活躍の場を広げている。それは所属事務所であるトライストーン・エンタテイメントの優れたマネジメント力によるものだろう。同事務所社長の小栗旬はレイニを「うちの秘蔵っ子」と形容しているくらいだ。  赤楚衛二や坂口健太郎など、日本のトップ俳優を擁する事務所として、この「秘蔵っ子」をどんな作品に出演させるのか。アーティストであるレイニの軸足がぶれないよう、作品選びには余念がない。『グラスハート』への出演は、音楽と演技、両軸のバランスを保ちながら、彼のミステリアスな持ち味を映像でも引き立てる、名刺代わりの作品になった。  さら想像するに、レイニが所属するソニー・ミュージックレーベルズ内のキューンミュージックの担当A&R(アーティスト・アンド・レパートリーの略。アーティストの楽曲を売り出すための戦略などを考案する)もかなり優れた手腕の持ち主ではないか。  レイニの才能を音楽的にはもちろん、演技面にも役立つようじっくり見定め、育て、(演技面も含む)多面的な売り出し方を熟考しているに違いない。
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少ないカット数でも不思議な存在感を醸す
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