「実父」は大物歌手。事務所社長・小栗旬の“秘蔵っ子27歳歌手”の不思議な存在感とは
少ないカット数でも不思議な存在感を醸す
『グラスハート』で演じた有栖川真広役は、佐藤演じる主人公・藤谷直季が結成するロックバンド・TENBLANKと敵対するユニット・OVER CROMEのメンバーだ。 菅田将暉演じるもう一人のメンバー・真崎桐哉が藤谷たちをライブハウスに呼び出す第1話の場面で、有栖川が初登場する。 まずライブシーンでビートを打つ有栖川が初めて画面に写る。その6カットを経て、後続する楽屋前の場面に移る。有栖川と真崎が向き合って座っている。そこへ廊下奥から藤谷たちがやってくるなり、有栖川が立ち上がる。 有栖川は真崎に「真崎君、厄介事は勘弁してください」とぼそり吐き捨て、下手側の部屋の中に入っていく。ワンショットの中で上手から下手に移動するレイニの動きをカメラがフォロー。俳優とカメラが静かに噛み合い、少ないカット数でもレイニは不思議な存在感を醸す。 『entax』掲載のレイニ最新インタビューでは、病院の屋上でパフォーマンスする場面(第6話)が印象的だと述べている。同場面のレイニもまた、周囲をぐるり回るカメラ移動と呼吸を一つにしていた。 あるいは、今年もっとも話題になったドラマ作品の一つ、『愛の、がっこう。』では、主題歌「Spiral feat.Yura」を担当しているが、出演場面はないにもかかわらず、レイニの歌声が主人公たちの会話に参加しているような空気感があった。音楽と演技が調和しながら、その区分がシームレスになる稀有なアーティストだ。 <文/加賀谷健>


