「こんな運転手いない」とのツッコミも…それでも木村拓哉のタクシー運転手役が“良い”と言えるワケ
11月21日より映画『TOKYOタクシー』が公開中。目玉となるのは、やはり主演・倍賞千恵子と木村拓哉の共演。アニメ映画『ハウルの動く城』から約21年ぶりかつ、実写映画では初の共演となる2人が、タクシーの運転手と、人生の終活に向かうマダムに扮して、東京の街をめぐり、語り合うドラマとなっている。
その木村拓哉の配役に対しては「こんな運転手いないでしょ」「もっと渋いおじさん俳優がやったほうがいいのでは」といったネット上でのツッコミも見受けられた。
確かに見た目からして「カッコ良すぎだよ」と思う部分もあれど、「いや、木村拓哉が、“普通の人”を演じているからこそいいんだ」となる場面も多々あった。映画の特徴や魅力を記しつつ、その理由もまとめていこう。
先に注意点を記しておくと、蒼井優と迫田孝也が出演する過去の物語において、DVおよび性暴力の描写がある。表現はやや間接的で、G(全年齢)指定の範疇ではあるのだが、かなり生々しくショッキングでもあるので、ある程度は身構えておいたほうがいいだろう。
もちろん、それは物語全体を振り返れば、間違いなく必要だと思えるものだった。なお、インティマシーコーディネーター(性的なシーンの撮影において、監督や関係各所との仲介や調整、俳優の精神的なケアを行う職業)の西山ももこがクレジットされている。
本作で描かれる物語の大半は「たった1日の寄り道」だ。タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を、神奈川・葉山にある高齢者施設まで送り届けるという依頼を受ける。会話を交わすうち心を許し始めたすみれは、浩二に「東京の見納めに、あちこち寄ってみたいところがあるの」と提案する。
木村拓哉はカリスマ性があったり、威圧感もある役柄のイメージも強いが、今回は打って変わって、クタクタになって早朝に帰宅する、経済的な悩みもあるが妻と娘との仲は良い、個人経営のタクシー運転手という庶民的な役柄に扮している。特に素敵だったのが「照れくさそう」な様子と、笑顔のニュアンスが変わっていくことだ。
たとえば、序盤に倍賞千恵子から「あなた客商売なんだから、もうちょっと愛想よくしたらどうなの?」と言われると、すぐに「ふっ」と笑いつつ「どうもすみません」と謝ったりもする。
さらには、「運転手さんの初恋はどんなだったの? お相手はどんな人?」と聞かれると「覚えてませんよ、そんなの」と返して、さらに「ああ、つまんない。照れてるのね?」といじられると「いやいや」とはぐらかして、やはり「ふっ」と笑うのだ。
厳格なマダムかと思いきやいたずらっぽい面を見せる倍賞千恵子がとても愛らしいし、彼女にたじたじな自分にも思わず笑ってしまうような木村拓哉、そんな2人が会話をしていくうちに打ち解けて、いつしか気の置けない友人のようになっていく様が尊い。
実際に山田洋次監督は、制作発表の場では「木村くんの素の魅力を盗み撮りたい」と、さらに撮影中にも「木村くんの笑顔を引き出したい」とずっと言っていたそうで、そのために台本を書き直したシーンや、何度もテイクを重ねて撮ったカットもあったのだという。初めは笑い方に自虐なニュアンスがあると思えた木村拓哉が、心からの笑顔を浮かべるのがどんなときであるかにも、ぜひ注目してほしい。
生々しいDVの描写に注意
笑顔のニュアンスが変わっていく木村拓哉
本作で描かれる物語の大半は「たった1日の寄り道」だ。タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を、神奈川・葉山にある高齢者施設まで送り届けるという依頼を受ける。会話を交わすうち心を許し始めたすみれは、浩二に「東京の見納めに、あちこち寄ってみたいところがあるの」と提案する。
木村拓哉はカリスマ性があったり、威圧感もある役柄のイメージも強いが、今回は打って変わって、クタクタになって早朝に帰宅する、経済的な悩みもあるが妻と娘との仲は良い、個人経営のタクシー運転手という庶民的な役柄に扮している。特に素敵だったのが「照れくさそう」な様子と、笑顔のニュアンスが変わっていくことだ。
たとえば、序盤に倍賞千恵子から「あなた客商売なんだから、もうちょっと愛想よくしたらどうなの?」と言われると、すぐに「ふっ」と笑いつつ「どうもすみません」と謝ったりもする。
さらには、「運転手さんの初恋はどんなだったの? お相手はどんな人?」と聞かれると「覚えてませんよ、そんなの」と返して、さらに「ああ、つまんない。照れてるのね?」といじられると「いやいや」とはぐらかして、やはり「ふっ」と笑うのだ。
厳格なマダムかと思いきやいたずらっぽい面を見せる倍賞千恵子がとても愛らしいし、彼女にたじたじな自分にも思わず笑ってしまうような木村拓哉、そんな2人が会話をしていくうちに打ち解けて、いつしか気の置けない友人のようになっていく様が尊い。
実際に山田洋次監督は、制作発表の場では「木村くんの素の魅力を盗み撮りたい」と、さらに撮影中にも「木村くんの笑顔を引き出したい」とずっと言っていたそうで、そのために台本を書き直したシーンや、何度もテイクを重ねて撮ったカットもあったのだという。初めは笑い方に自虐なニュアンスがあると思えた木村拓哉が、心からの笑顔を浮かべるのがどんなときであるかにも、ぜひ注目してほしい。
1
2
【公開情報】
タイトル:『TOKYOタクシー』
公開表記:11月21日(金)全国公開
©︎2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
タイトル:『TOKYOタクシー』
公開表記:11月21日(金)全国公開
©︎2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会



