「スピリチュアルは現世で楽して得したい人がやっている」スピに対する私たちのスタンス|ジェーン・スー×角由紀子
『引き寄せの法則を全部やったら、効きすぎて人生バグりかけた話』が大ヒット中の著者・角由紀子さん。それをたまたま読んだジェーン・スーさんが、自身のポッドキャスト「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」で紹介したところから縁がつながり、対談が実現。
オカルトの女王として圧倒的な存在感を放ち続ける角さんと、コラムニスト、ラジオパーソナリティなどで幅広く活躍中のスーさんが、「自立した女のスピリチュアルの付き合い方」についてアツく意見を交わしました。
角由紀子(以下、角):TBSラジオのポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」で、私の著書を取り上げてくださったようで……ありがとうございます。
ジェーン・スー(以下、スー):いえいえ。マッサージチェアに乗ってるときにオーディブルで冗談半分に聴いていた瞑想コンテンツがあって、そこからアルゴリズムだったのかな……アマゾンに角さんの本が出てきて。読んでみたら面白くてものすごくウケちゃって(笑)。
角:スーさんはそもそも、スピリチュアル系に興味はあるんですか?
スー:興味のあるなしというより、私の世代だと、子どもの頃に「マイバースデー」っていう雑誌があって。いまのスピリチュアルとは違いますが、身近にありましたよね。
角:ありましたね。占いとかおまじないの月刊誌。
スー:高校生の時に友人が、そのマイバースデーとかで広告によく載っていた「幸運の石」と言われているラピスラズリを買った途端に交通事故に遭ったんです。でもその子は真顔で「ラピスラズリをつけていたから命は取られなかった」って言ったのを聞いて、すごい!と思ったんですよ。
私から見たら彼女は「幸運の石を買ったのに交通事故に遭った不運な人」なんだけど、でも彼女からすれば「石をつけていたから命が助かった」と。その一件で、結局物事に真実なんてものはなくて、当人の受け取り方次第なのだと思うようになりました。
角:なるほど……。
スー:いまで言う「スピリチュアル」が出てきたのって、私が社会人になってからかな?それまでも世の中には「オカルト」ブームみたいなものはありましたけど。
角:もともと「オカルト」と言われていたものを「スピリチュアル」に言い換えた感じですよね。
スー:新卒でレコード会社に入社して、女性誌の編集者やライターと知り合いになったんですけど、出版業界の女性でめちゃくちゃ占いにハマってた人が多かったんですよ。その勢いたるや、今の韓国美容くらい(笑)。みなさんお気に入りの占い師がいて当たり前、みたいな勢いで、何なんだこれは?と思っていました。
角:スーさんはハマらなかったんですか?
スー:私自身は非常に理屈っぽいので、実は神秘体験やお化けらしきものを見た体験はあるんですけど、自分の中では「偶然だな」「不思議なことがあったね」くらいの、何でもないひとつの体験に過ぎないんです。
角:え、どんな体験をされたんですか?(興味津々)
スー:子どもの頃、部屋で寝ていたら突然光が現れて、よく見たらおじいさんの顔なんですよ。それがぐるぐる回りながら顔の近くまで降りてきて、ヤバい!と思ったところで犬が吠えたらスッと消えたとか。母親が亡くなった翌日に、自宅の浴室の大きな窓が全開になっていて石鹸やボトルが全部外に落ちていたとか。
ふいに思い出した芸能人の名前を口にしたら翌日に訃報が出るとか。これが何回か続いて怖くなって、こういうことを自分の拠りどころというか、アイデンティティにしないほうがいいなと感じたことはよく覚えています。
角:それはすごくよくわかります。
スー:まあそんなふうに、不思議なことがあってもそこにあまり意味を見出せない感じで生きているうちに、今度はスピリチュアルがイヤな感じで流行り始めたんですよ。心が弱っている人につけ込む感じとか。友人は「現世で楽して得したい人がやっている」と評していましたが、これは言い得て妙だと思いました。ということで、スピスピしたものと距離は取っていたんですよ。
角:なるほど。
「幸運の石」とスピリチュアルの捉え方
オカルトからスピリチュアルへの進化
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