“勝男”竹内涼真はなぜ「肌着で料理する」のか?『じゃあつく』プロデューサーが語る舞台裏――今期トップ級の話題作
谷口菜津子氏作の同名漫画が原作のドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系、火曜よる10時~)の人気がすごい。無料配信動画サービス・TVerとTBS FREEでの初回総再生回数がTBS火曜ドラマの歴代1位を記録するなど、秋ドラマ屈指の話題作と言っていい。
手間のかかる料理こそ美徳だと考える、そんな昔気質の海老原勝男(竹内涼真)と、人の目を気にしがちな山岸鮎美(夏帆)が主人公。2人は大学時代から付き合い続けていたが、勝男の“化石的な価値観”に耐えられなくなり、鮎美が勝男に別れを告げたところからストーリーが始まる。“古い価値観をアップデートする”という、言ってしまえば最近のドラマでよくある切り口ではある。にもかかわらず、ここまで注目を集めている要因は何なのか。
TBSが公開した本作のプロデューサーを務める杉田彩佳氏のコメントを交えながら、その理由を考えたい。
やはり勝男役の竹内涼真がハマりにハマっているのが大きい。「顆粒出汁は手抜き」と考えるなど、モラハラとまではいかないまでもステレオタイプな言動が目立ち、イラっとさせられる瞬間も珍しくない。しかし、決して勝男を“嫌なやつ”とは思わせず、むしろ応援したくなる主人公として表現できている。
原作者の谷口氏からは「勝男を見て、周りの人たちがそれを見て変わっていく、背中を押すような感じにできたら」というリクエストがあったようだが、杉田氏は竹内の演技についてこだわった部分として以下のようにコメントしている。
「特に竹内涼真さんも意識してくれたところだと思いますが、素直と無邪気、あと悪気がないところの塩梅。一度変わろうと決めたら一直線なんですよね。谷口先生が描いていた原作の勝男もすごく真っすぐな人物だったので、見ている方々の変わりたいと思う背中を押す要素になっていたらいいなと思っています」(杉田氏、以下カッコ内同)
原作者の願い、さらには竹内の演技力が、勝男という愛される主人公を作り上げ、視聴者に支持されているのだろう。
料理シーンも丁寧に描いていることも勝男が愛されている要因と言える。そんな料理シーンは、撮影現場で生まれたアイデアが大きなスパイスになっているようだ。
「勝男が肌着で料理するのも竹内さん案です。衣装合わせの時に何着もの衣装に着替えていただくのですが、その時に竹内さんが衣装の下に白いTシャツを着ていたんです。私たちが竹内さんの着替えを待っている中、急に白いTシャツ姿で竹内さんが出てきて、『これで料理するってどう思いますか?』と尋ねられたんです。
その時に本作のカメラマンである加藤十大さんや、夏帆さんもその場に居合わせていたので、加藤さんにお願いして、鮎美姿の夏帆さんと肌着姿の勝男の竹内さんで写真を撮ったら、すごくコミカルで面白いなと感じたんです。スタイリストさんたちも『ありですね』と共感してくださったので、肌着姿の勝男が生まれました」
エプロン姿で料理していると、“小慣れている感”が出てしまう。肌着で料理しているからこそ、「不慣れだけど頑張っている」という印象を持たせ、勝男の不器用さと実直さも演出できていたように思う。





