そんなある夜、宏樹くんが手を滑らせておもちゃを落とした瞬間、また義父はビクッと反応し、そこからまた怒鳴り散らす展開になってしまい……麻美さんはついに我慢の限界を迎えてしまいました。思わず口をついて出た言葉は、暴力の本質を突くものだったそう。
「幼児に怒鳴って威張るって、大人としての品位はどこへ置いてきたんですか? あなたのしていることは虐待ですよ」
DV加害者が自分の行為を正当化し、指摘に逆上することは珍しくはありません。義父もその典型例でした。

「義父は、顔を真っ赤にして椅子を蹴り飛ばしながら立ち上がり『なんだその口の利き方は! 嫁のくせに! 生意気なんだよ』とブチ切れて、私の腕を強い力で乱暴に掴んで、怒鳴りながら私の脚を思いきり蹴りつけてきたんですよ」
それは、身体的暴力が明確な形となって現れた瞬間でした。
麻美さんは迷うことなく警察へ通報。家庭内暴力への介入に警察が求められるのは、すでに危険性が限界のラインを超えた証拠でもあります。
パトカー到着後も義父の暴走は止まりませんでした。「俺は何もしてない! 家のことで警察呼ぶなんて、この嫁は頭がおかしい!」と近所に響き渡る声で怒鳴り散らし、義母は涙ながらに止める……。典型的な“家庭内暴力が外部に露見したときの混乱”が、その場に広がったそう。

しかし、警察官は冷静に状況を確認。麻美さんの腫れた腕、蹴られた脚の痕、そして義父の酒臭い息と足元のおぼつかなさを見て一言。
「『この状態で、“何もしてない”は無理がありますよ』とピシャリと言われて、義父はその場で凍りついていました。通報して良かったと心から思えた瞬間でしたね」