話し合いは成立せず、育児方針はそのたびに踏みにじられていきました。やがて純くんも、義母の前では美佳さんの言葉をまったく聞かなくなり、「ばあばがいいって言ったもん!」と泣けば欲しいものが手に入る環境ができあがってしまいます。
そんなある日の夕方、仕事から帰宅した美佳さんは、義母が純くんに夕飯前に大盛りのカップラーメンとチョコレートドリンクを与えている場面を目撃してしまいました。

「私が唖然としていると『純くん、お腹すいていたからついね〜』と悪びれもせず義母は笑っていました。その瞬間、私は怒りよりも胸の奥がストンと冷たくなるような絶望を感じたんですよね」
案の定、夕飯時になると純くんはひと口も食べず、野菜を見るなり泣き出して「ばあばがいい! ママのごはんいらない!」と叫んだそう。
「仕事から帰ってきた夫に状況を説明しても『まあまあ、母さんの気持ちもわかるし、そんなに怒ることでもないだろ?』と、スマホの画面を見ながら関心なさそうに答えられて……あぁこの家では私の言葉は誰にも届かないんだってやっと気がついたんですよ」
義母だけでなく、夫もまた話し合おうとせず、母親としての美佳さんの判断は軽視されてしまい……育児方針は何度も崩され、家庭の中で美佳さんは静かに孤立していったのです。
そしてある夜中、眠っている純くんの寝顔を見つめながら、美佳さんは静かに荷物をまとめたそう。
「このままこの家にいたら、純の成長に悪い影響を与えるし、そして私自身も壊れてしまうと思ったんです」
翌朝早く、夫と義母が起きる前にタクシーを呼び、純くんを抱いて家を出ました。

「実家に到着すると、母親が心配そうに迎えてくれて『よく決断したね……しんどかったでしょう』と抱きしめられた瞬間、私はようやく声をあげて泣くことができました」
この問題の本質は、カップラーメンを食べさせたかどうかではありません。母親としての当然の判断と意思を、義母も夫も尊重せず、話し合いすら拒み続けたこと……それこそが、美佳さんを家から追い出す結果を招いてしまいました。あなたの声は、いまの家庭でちゃんと大切にされていますか?
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop