「結婚してからも修司はやさしく、『水奈は好きなことをすればいい』と仕事も一生懸命頑張ってくれました。
唯一気にかかっていたのは、隠れてコソコソと電話をしていることぐらい。『夫はフリーランスだから仕事の電話だろう』と自分に言い聞かせてはいましたが、それでも浮気が心配で、由美には何度も相談していました」

けれどそのたび、「
まさか修司さんにかぎって、それはないでしょ。あんなに真面目で水奈のこと一筋なのに。信じてあげるのも妻の役目」などと由美さんに諭され、結局は修司さんを信じるということで相談は終了。そういった日々を繰り返していました。
「そんなある日、修司の友だち数人と由美を招いて自宅で飲み会を開いたときのことです。いつもは運転手を買って出る由美が、私の家で泊まる予定だったこともあり、お酒をガブガブ。
いつの間にか悪酔いしていて、由美の目は据わっていました」
心配になった水奈さんが、冷たい水と使い捨ての冷却タオルを差し出し、隣に座って背中を撫でていたときのこと。由美さんが突然、「
おい、お前! いつまでこういうことを続ける気だ?」と、修司さんを指さして怒鳴りはじめたのです。
「盛り上がっていた場は一瞬にして静まり、修司も驚いた様子で固まっていました。そんななか由美は構わず、『
お前が水奈を好きって言うから、ガラの悪い友だちに頼んでキッカケ作ってやったのに! 結婚してからもしょっちゅう電話かけてきやがって』と続けたのです」

それは水奈さんにとって衝撃の発言でした。頭の中が真っ白になり、「一体、どういうこと?」と修司さんに詰め寄ると、修司さんの友だち数人は「あ……じゃあ、そろそろ……」などと退散。泥酔した由美がイビキをかきながら眠るなか、水奈さんは修司さんを問い詰め続けます。
「すると修司は、『もともと友だちだった由美にスマホの写真を見せてもらったとき、
水奈に一目惚れをしてしまった』と話しはじめましたが、それ以上は濁してばかり。翌日、目を覚ました由美を問い詰めたことで、さまざまなことが発覚しました」