ダウンタウン不在の年末年始にウッチャンナンチャンを求める制作側
また、年末年始の地上波お笑い特番といえば、これまではダウンタウンが揃って出演する番組が定番でした。しかし、今年の放送予定はゼロ。そこで白羽の矢が立つのは、彼らと同等の格と国民的人気を兼ね備えたコンビですが、その重責を担えるのは、もはやウッチャンナンチャンしかいないと言っても過言ではありません。
さらに、2025年4月に石橋貴明氏が食道がんと咽頭がんを公表し、現在は治療のため活動を休止中。とんねるずとしての稼働が困難な今、同時代を築き上げてきたウッチャンナンチャンに期待が寄せられるのは、業界の流れとして必然と言えるでしょう。

画像:『ザ・イロモネア』番組HPより
今年の年末年始では、『「ウンナンの気分は上々。」ご無沙汰しておりましたSP』や『ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー これができたら100万円!!』のリバイバルのほか、2025年2月に8年ぶりに復活を遂げた『ウンナン極限ネタバトル!ザ・イロモネア 笑わせたら100万円』(TBS)が12月29日に放送されます。
今年の年末特番では内村さんが17年ぶりにチャレンジャーとして出場することが発表され、ダウンタウン不在の年末年始においてウッチャンナンチャンの稼働を制作側が切に求めている様子がうかがえます。
年末年始特番に求められる旧ジャニーズ勢の安定したお茶の間人気
また、お茶の間人気に必要不可欠な年末年始特番における旧ジャニーズ勢の安定した人気とパワーも特筆すべき点です。『クイズ$ミリオネア』の司会は二宮和也さんが、『ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー これができたら100万円!!』の司会は南原清隆さんとともに菊池風磨さんが務めます。
さらに、2014年のレギュラー放送終了後は年末に放送が恒例となった『堂本兄弟2025』(フジテレビ)が12月30日に放送。加えて、レギュラー放送されている『それSnow Manにやらせて下さい』内で復活していた人気企画『関口宏の東京フレンドパーク』が単独番組となった『それスノフレンドパーク』(TBS)が1月2日に放送されます。

画像:TVerより
平成の人気番組をリバイバルするにあたって、人気も実力もある芸人ではなく、旧ジャニーズ勢の個人やグループに委ねる。これは彼らのお茶の間人気はもちろんのこと、いかにバラエティ番組において立ち振る舞いやコンプライアンスを守りながら面白いコンテンツを作る上でスキルが高いかを示しているでしょう。
どんな芸能人とも上手に絡み、トークも上手で、バラエティを理解し、ビジュアルが良く常に笑顔を絶やさない点、放送前にスキャンダルが出て番組がお蔵入りするリスクが少ない点など、旧ジャニーズ勢の信頼感が高いことから年末年始特番での抜擢が増えているのも納得できます。
また、2025年はシール帳やたまごっちなど今まで以上に平成レトロブームが起き、平成のカルチャーや空気感を懐かしむ流行は今の若者世代にも広がっていきました。数年前であれば「平成の知らない番組をリバイバルする」となるとターゲット層が狭まったかもしれませんが、今年は例年以上に若者や中高生にも受け入れられると制作側も判断した感もあるのでしょう。
こうしたさまざまな要因から、2025年から2026年にかけての年末年始特番には特徴的な傾向が見られることがよくわかります。
<文/エタノール純子>
エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中