松田さんは20代のころから占いやスピリチュアルが好きでした。佳川奈未(自己啓発のベストセラー作家)が書いた“引き寄せの本”などをよく読んでいたそうです。
90年代にオカルトブームが到来し、前世という概念もはやりました。
さらに、松田さんが40代の2000年頃といえば、六星占術の細木数子が多くのテレビ番組に出演し、江原啓之がテレビでスピリチュアルカウンセラーとして活躍している時代でした。松田さんもテレビ番組『オーラの泉』はよく観ていたそうです。
そんな時代の影響もあり、運送業の彼氏との交際前後から、よりスピリチュアルに傾倒していきます。恋愛運アップのため持ち物や服にピンクが増えていきました(今でも、松田さんの身のまわりにはピンクアイテムが多いです)。

実際の松田さん(仮名)。63歳の今もピンクが多い
失恋したころ、当たると評判の「霊が見える人」を職場の人に紹介されて、見てもらうことにしました。
その霊能者に彼氏との経緯を話すと、「彼は前世であなたのペットだったの」と言ってもらえたとか。松田さんは「そういう運命だったんだな」と受け入れることができたそうです。
当時の松田さんは、引き寄せの法則の本を読み、スピリチュアル番組を見て元気をもらい、それらが恋愛運・結婚運を上げると思っていたのです。
そんなもので恋愛運が上がるなら、60代で婚活をしていないとは思います。とはいえ、2000年代は今よりずっとスピリチュアルや占いの影響力が強い時代だったので、時代の被害者なのかもしれません。
50代のころ、約30年勤めていた小さな広告代理店が倒産し、そこからは派遣社員として働き始めます。
50後半には、民間の結婚相談所に登録しました。2年間活動しますが、いいご縁には恵まれません。更新を考えていたところ、友人から私のことを紹介されて相談にいらしたのです。その友人は過去に相談に来た方で、今は素敵な男性と結婚しているそうです。
私は、民間の結婚相談所の更新より、東京都が運営するマッチングアプリへの登録を勧めました。
若づくりなピンクの服より、上品に見える服を勧め、一緒に買い物も行き、白いトップスやサテンスカートなどを購入。上品に見える写真を撮って東京都のマッチングアプリに登録したのです。
松田さんによると、民間の結婚相談所より、東京都のマッチングアプリの方がいい人に会えたそうです。
補足すると、民間の結婚相談所に素敵な男性がいないわけではありません。ですが、50代の松田さんのスペックでは出会えないというのが現実です。
自治体が運営する婚活サービスは、民間より学歴や年収が高くないユーザーの割合が増え、華やかな女性もあまり登録しません。また、男女比は民間は女性が多いのに対して、自治体婚活サービスは男性が多い。要するに、強敵なライバル女性が少なく、男性が多いため女性に有利な出会いの場なのです。
婚活は就活と同じで、人気が高い人は人気が高い相手と出会えます。とはいえ、就活以上に、自分の人気レベルを把握するのは難しいのです。
松田さんは埼玉県出身であることから、埼玉県の「恋たま」というマッチングシステムの併用も勧めたのですが、「えー!埼玉って田舎だし」という反応でした。

埼玉県の公的な結婚支援サービス「恋たま」
筆者は、最近結婚した年収800万円の30代ハイスぺ女子を思い出しました。彼女は「東京はマンションが高い。ペアローンで23区のマンションを買うぐらいなら、神奈川か埼玉で買う」と言っていたのです。この現実的な発想が、松田さんにはなかったのです。