本作では『虎に翼』同様、むしろそれ以上に、よねは怒っている。よねの怒りの描き方について、尾崎氏は「朝ドラの時からですが、『声を上げてもいいんだ』『怒っていいんだ』と示すことは、1つのテーマとして考えていて、脚本を務めた吉田恵里香さんもそこはすごく意識していた部分です」と答える。
「そのことを体現するのが山田よねなんですよね。理不尽な仕打ちを受けたら、差別に遭ったら、『我慢せずに怒りの声を上げることは、意味があって肯定されるべきこと』というのは一貫して描いてきました。よねが主役になったことで、本作ではその部分が色濃く出たと思います。

ただ、真っ当な声であっても、それが“怒り”であった場合、脊髄反射的に拒否反応を示したり、冷笑したりする人も少なくない。それでも、「怒りの声だったからといって、その声を避けるのではなく、『なぜその人は声を上げているのか』ということを冷静に見つめることが大切だと思います。怒りの声に耳を傾ける、ということも伝われば嬉しいです」と続けた。
最後に『山田轟法律事務所』をどのように楽しんでほしいのかを聞くと、「『虎に翼』を観ていない人も楽しめるし、観てくれた人にはより楽しんでもらえるスピンオフドラマになったと自信を持っています」という。
「よねが主人公ということで、タッチも少し違うテイストになっているなど、新しい『虎に翼』の魅力を感じてもらえると思います。もちろん、『虎に翼』らしさもある内容で、それは私も吉田さんも制作チームもみんな思っていることなので、ぜひ視聴して、いろいろ感じてもらえるとありがたいです」
よねの怒りは、決して誰かを傷つけるためのものではない。その怒りが『虎に翼』を愛した人や、まだ触れていない人に、どのような気づきを与えるのか注目したい。
<取材・文&人物写真/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):
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